子供目線で書かれた尾崎世界観の小説「母影」垣間見える字へのこだわり

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みなさん、こんばんは。愛原夢音です♪

脳科学者茂木健一郎さんが日本や世界を舞台に活躍している人々を迎え、
その人の夢や挑戦に迫っていく番組、Dream Heart。

今回のゲストは、4人組バンド・クリープハイプの尾崎世界観さんです。

尾崎世界観さんが書かれた小説「母影」が芥川賞候補にも
なったことは、みなさんも記憶に新しいかと思います。

そんな尾崎世界観さんの小説「母影」やクリエイティブな
尾崎世界観さんの一面についてもお伝えしていきますので、
最後までお見逃しなく。

どうぞ、最後までお付き合いください!

 

 







芥川賞候補に選出された尾崎世界観の小説「母影」

 

 

 

 

「才能に溢れるすごい方です!」と茂木健一郎さんがご紹介したのが、
今回のゲストであるロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観さんです。

尾崎世界観さんは、先程もお伝えしましたように
小説「母影」が芥川賞候補作になりました。

この知らせに驚いた方も、たくさんいらっしゃったと思います。
私もそのうちの一人です。

芥川賞発表の日は、”ライブハウスで待っていた”と尾崎世界観さん。
新潮社の担当編集者と、バンドメンバーと待っていたそうです。

尾崎世界観さんが書かれた小説、
「母影」について簡単にご説明しますと…

「母影」の主人公は小学生の少女。

その少女から見た母親のことが書かれています。

「あまりネタバレするといけないから言えないですけど…」と
前置きした上で、茂木健一郎さんはこの小説の終盤がすごい!と大絶賛。

なぜなら、小説では少女からみた主観的な世界を描いているからです。

尾崎世界観さんは、バンドでもともと声のピッチも
少し高めに歌われています。

そして、クリープハイプの楽曲というのは女性目線のものが多い
“これはすごいことだ”と、茂木健一郎さんはいいます。

ここで、尾崎世界観さんから茂木健一郎さんへある質問が。

それは、”男性が女性のことを書いたり歌ったりすることは
脳の構造的には何かあるのか?”

というもの。

 

茂木健一郎さんの話によれば、

理想の女性像や男性の中にある女性のイメージというものの
リアリティーを表現する
ようなことはあるようです。

もちろん、それはとても良いことなんですよ。
クリエイティブの根本でもありますから。

「母影」は正直言って芥川賞にふさわしいと思う

そう話す、茂木健一郎さん。

惜しくも芥川賞の受賞を逃した尾崎世界観さんですが…
次こそは芥川賞受賞を、と考えているようです。

見方は厳しくなる一方で、期待されている可能性も上がりました。
なので、次をどうするか。

尾崎世界観さんは、まさに今それを考えています。

次はどのような作品が誕生するのか、楽しみですよね。

 

ここからは、シンガーソングライターでもあり小説家でもある、
尾崎世界観さんのプロフィールについてご紹介していきます。

尾崎世界観さんは、1984年東京都出身。

2001年に結成したロックバンド・クリープハイプのボーカル、
ギターを担当しています。

2012年リリースのアルバム「死ぬまで一生愛されると思ってたよ」で
メジャーデビュー。

2016年には、初の小説「祐介」を書き下ろしで刊行しました。

そして、その他にも「苦渋100%」、「苦渋200%」、
「泣きたくなるほど嬉しい日々に」などのご著書があります。

そして1月29日に新潮社より刊行された「母影」が、
第164回芥川賞にノミネート
されて話題となりました。

 

 



「母影」のテーマは、整体から生まれた?

 

 

 

さて、刊行されたばかりの尾崎世界観さんの小説「母影」ですが…
これは、少女からみたシングルマザーのお話です。

少女が、子供から大人になる。
その過程で大人の世界を覗き見るシーンも描かれています。

 

このテーマは、どこから来たのでしょうか?

尾崎世界観さんは、ライブの前に整体に行くのだそう。
その整体での出来事が、「母影」が誕生するきっかけになりました

何年か前に通った整体院で尾崎世界観さんが見たのは、
隣のベッドで小学生くらいの女の子が宿題をしているところ。

恐らく、整体院に務めるスタッフのお子さんなのでしょう。

それを見た尾崎世界観さんは、なぜか
“すごく悪いことをしている”ような気がしたそうです。

お母さんを遠くに連れて行く悪魔のような、
自分が汚いものに思えたのだそうで…。

これは、一つの小説のテーマとしては面白いかもしれない
尾崎世界観さんは、その思いを胸にずっと温めてきたといいます。

小説のテーマって、身近なところに転がっているものなんですね。

 



「母影」や「祐介」にも 尾崎世界観が”字”にこだわる理由

 

 

この小説の主人公の少女は、”字は読めるけど書けない“という
キャラクター設定になっています。

なぜ、このような設定になったのか。

それには、尾崎世界観さんの字に対するこだわりが深く関係しています

なぜ、字に対してこだわりがあるのか。
それは、もともと尾崎世界観さん自身の字が汚いから…だそうです。

“ミミズがはったような字”とよく言われるようで、
字を書くこと自体に良い思い出がないとのこと。

それが逆に、人の字で判断することにもつながっていくように。

尾崎世界観さん自身がコンプレックスに感じているため、
字がきれいな人に憧れたり人の字で判断することもしばしば。

デビュー作の「祐介」でも、そんな字へのこだわりを
垣間見ることができます。

「祐介」には、スピンオフの字に慰められたというシーンも。

女の子の字に興味があったそうで、
その字を好きになるなんてこともあったそうです。

 

「尾崎世界観さんに好きになってもらうには、
きれいな字を書けばいいってことですか?」

 

と、茂木健一郎さん。

 

その質問に対して、尾崎世界観さんはきれいな字がいいと
いうわけではないと断言。

変な字だけど味がある字も好きなのだそうです。

なんだか…不思議ですね。

 



字で人を好きになった過去も

 

 

尾崎世界観さんの字へのこだわりについてのエピソードを、もう1つ。

尾崎世界観さんは、字で誰かを好きになったことがあるそうなんです。
それは、尾崎世界観さんが小学生の頃にまで遡ります。

当時、尾崎世界観さんには好きな女子がいました。
その子は、めちゃくちゃ性格が悪くて”嫌な奴”だったとか…。

それでも、クラスでは中心的な存在。
その子は、テストのたびに満点に近い点数を取るほど頭の良い子でした。

採点は当然、先生が行っていました。
ですが、その採点方式に新たなルールが追加。

そのときのことを、尾崎世界観さんはこう話しています。

 

「その子が最初に全部答案書いて先生に採点してもらって、
かなり満点に近いようなテストを毎回取って。

だから、先生がその子より後に終わった人は、
その子に採点をさせるというのがあったんですよ。

その子も、それが嬉しかったんでしょうね。
結構、偉そうに採点してて。

僕は頭が悪かったので、その子が採点してるときすら
間に合わなかったんですよ。

遅い人はさらにまた別の人が採点することになっていたので、
一生懸命頑張って答案用紙書いて渡すんですけど、
その子にはなかなか採点してもらえなくて。

でも、やっぱり字がすごくきれいだったんですよ。
マルの付け方とか。

その子に自分の答案用紙に何か書いてもらえるってことに憧れてて、
その字自体が好きだったんじゃないかなって今は思います。」

 

みなさん、どうですか。
この、尾崎世界観さんの字へのこだわりエピソード。

とても素敵なお話ですよね。
そのときから、文学的な感性があったような気もします。

 

 



尾崎世界観が「母影」をあえて子供の視点で書いた理由

 

 

「母影」の最後の部分は、何度も書き直しをしたという、
尾崎世界観さん。

何度も書き直して、自分でも”しっくりこない”と思いながらも
他のものも思いつかない。

そんな状態から、なんとか形にできたといいます。

 

「なんか、すごいもの読んじゃったな…」

 

と思ったという、茂木健一郎さん。

 

「母影」の最後のシーンに反映されていたのは、
尾崎世界観さんが子供の頃から感じていた”ある思い”でした。

子供の頃に、大人が何かをしている。

子供の自分には理解できないだろうと思われていることだけは
理解できるけど、実際に理解できていないことが悔しい。

そんな思いを、尾崎世界観さんは子供の頃からよく思っていました。

悪意だけが自分の方に入ってくる理不尽な感じが、
印象に残っていたといいます。

受信するだけの苦しさ。
そして、自分では吐き出せない思い。

子供の頃は言葉を知らないだけで、自分の思いや葛藤を
吐き出すことがなかなかできない。

では、大人になって言葉を知ったところで
本当にそんな思いが吐き出せているのかどうか。

大人になった今、それができているのかというとそれも疑問に感じた。
尾崎世界観さんは、そう話します。

大人の側から見ると、
吐き出せるわけでもないということなんですね。

言葉を使って話しているけれど、痒いところが掻けてないという状態。

そんな思いもあって、尾崎世界観さんは今回の小説「母影」では
あまり言葉を持たない子供の視点から物語を紡いでいきました。

執筆している最中に、”大人よりもなにか言えた気がする“という
瞬間を感じたといいます。

 

 



尾崎世界観が小説を書く上で大切にしている2つのこと

 

 

担当の編集者は、尾崎世界観さんの小説の設定を
どう思ったのでしょうか?

担当編集者は設定を先に面白がってくれたので、
”これで書き進められる”と尾崎世界観さんは思ったそうです。

世界との交わりを書かなければいけない“という助言はいただいたとか。
その言葉には、尾崎世界観さんも納得。

その反面、

 

「そもそも自分は世界と交わったことがあるのか…?」

 

ということも深く考えるように。

 

小説を書くにあたって、
いろいろなことを尾崎世界観さんは学びました

 

世界といっても、いろいろな”世界”がありますよね?

今回の小説では”閉じたもの”を書いていたので、
閉じた世界を想像しつつ書き進めていきました。

小説を書いていく中で尾崎世界観さんが強く意識したことは、
自分が納得できるものを書くこと。

そして、自分の内側に入っていくような意識で書くこと。

それが、良い作品を生むポイントなのかもしれません。

 



完全なフィクションだったデビュー作が自伝的小説と呼ばれているワケ

 

 

デビュー作の「祐介」は自伝的小説といわれていますが、
これは完全なるフィクションです。

なぜ自伝的小説といわれているのかというと…

尾崎世界観さんとしては小説として書いたのですが、
自伝的小説としたほうが宣伝しやすいということで
自伝的小説と呼ばれるようになったということなんです。

そのときに、とても悔しい思いをした尾崎世界観さん。

そのためか、今回はちゃんと小説を書きたい。

紛れもない小説を書くんだという強い気持ちが、
なるべく自分から遠い設定と主人公を選んで書くことに
つながっていきました

日本の私小説の伝統からすると、自分のことを書くのが
ある意味ではよくあるパターンですし気持ち的にも楽なものですが、
尾崎世界観さんの志としてはそうではありませんでした。

自伝的小説ではなく、ちゃんとしたフィクションを書く

そういう気持ちでいたからこそ、デビュー作で自伝として
宣伝して本を出したことが尾崎世界観さんの中では根深く残っていました。

“悔しい思いばかりしているけど、少しずつ進んでいる感じもある”と、
尾崎世界観さんは話します。

 



文学には人を救う力がある 小説から見出したエネルギーと希望

 

 

ここまで読み進めてくださったみなさんは、尾崎世界観さんが
いかにすごいクリエイターなのか伝わってきたのではないかなと思います。

「尾崎世界観さんって、町田康さんに似てますよね」と、
茂木健一郎さん。

町田康さんの作品からインスパイアされる、なんてことも…。

尾崎世界観さんは、10代の頃にお金もなくて「ゆうすけ」の
モデルになっていた”腐っていた”時期がありました。

そんなときに出会ったのが、町田さんの作品。

その作品を読んだときの感想を、尾崎世界観さんはこう語っています。

 

「あっ、自分よりだめな人間いると思って。そこで救われたんですよね。
まだまだやれるぞ、っていう。」

 

文学には、人を救うすごい力があるということですね。

特に主文学といわれる小説には、人を救う力があります。

マイナスの方に向かっていくけれども、結果的に
マイナスに行き過ぎてプラスに突き抜けていく

そういうエネルギーに救われて、そこに希望を見出す。

文学には、そんな力があります。

 

 



小説でも”メロディー”は成立する?

 

 

歌詞を書くときと小説を書くときには、
どんな違いがあるのでしょうか?

まず、歌詞をかくとき。

歌詞を書くときは、メロディーがあるのでどこに言葉をおいても
だいたいは成立
します。

尾崎世界観さん自身が作っているメロディーでもあるので、
納得はできます。

ですが、100%言葉で伝えることができていないという
不満はずっとあったといいます。

小説だけで勝負したい!と思っていざ挑戦したときに、
今度はそれが難しすぎて…

音楽と小説の間でいつも迷っている感じはある、と尾崎世界観さん。

メロディーの力に助けられているところが歌にはある。
でも、小説はそれがないから言葉だけで勝負するということですね。

小説では、言葉の集合体である文章が勝負。

文章だけずっと書いていくと、音楽でいうメロディーのようなものが
たまに成り立つ瞬間が小説の中でもある
といいます。

それを、尾崎世界観さんは探しているのだとか。

文章のリズムを使って、歌うような文章の組み立て方を
目指して研究
を続けているそうです。

 

現在は、次の小説を書くためにメモをして書き溜めている最中。
次回作は、どの出版社から刊行するのかはまだ未定だそうです。

 

「今回応募させていただいてとても嬉しかったので、クセになりそう…」

 

と、尾崎世界観さん。

 

そして、

 

「嬉しかったって言ってるうちは何もわかってないってことですよね。
ちゃんと立っていられないとだめですよね。」

 

とも仰っていました。

さすが、クリエイターですね。

茂木健一郎さんは、芥川賞候補にもなった尾崎世界観さんの小説
「母影」についてこう語っています。

 

「素晴らしい小説です!特に最後の何ページかは、一体どこに連れて
行かれるんだろうってくらい、すごい小説となっています。」

 

気になった方はぜひ、書店でチェックしてみてくださいね。

 

ここまで、尾崎世界観さんの小説「母影」や
尾崎世界観さんの小説に対する思いをお伝えしてきました。

 

次回は、尾崎世界観さんの夢にフォーカスしていきます。
お楽しみに…♪

 

 

 

 

 

 







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