みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、世界のあこがれ〜北海道ブランド〜から
北海道の魅力をお届けしていきます。
今回のテーマは、アイヌ民族の木彫り工芸品。
漫画「ゴールデンカムイ」や直木賞に輝いた小説「熱源」、
そして民族共生象徴空間ウポポイのオープンなど、
注目を浴びるアイヌ文化。
その中でも木彫りは幕末の文献に細工が精妙、
つまり巧みで優れていると記載されるほど
高い技術を誇っています。
さらに近年は伝統的な技に創意工夫を加える
木彫り作家が様々な作品を生み出し、大英博物館で
展示されるなど、国際的な評価も高まっています。
前回に引き続き、北海道大学先住民研究センター
准教授の山崎幸治さんをゲストに、
注目の工芸品や木彫り作家を中心にお話を伺っていきます。
今回のポイントは、個性。
芸術には、大切ですよね。
このポイントを頭に入れながら、みなさんも
木彫り工芸品について学んでいきましょう!
Contents
木彫り工芸品が土産品として持ち帰りされるようになったのは、いつから?
木彫り工芸品が土産品として登場するように
なったのは、江戸時代の後期から。
江戸時代に土産品を持って帰る人たちというのは、
北海道に来ていた和人の商人たちや幕府の役人です。
みなさんも学生のときに歴史の授業で習ったと
思いますが、北海道は当時、蝦夷地と呼ばれていました。
そこに幕末の役人や商人が訪れるようになります。
和人の商人だけでなく、漁場で働く人たちも
蝦夷地に来ていたんです。
そういう人たちに渡すために、木彫りはつくられていきます。
アイヌの人たちは、このことを
「じぶんかせぎ」と言っていたそうです。
自分たちが持っている技術を使って
いろいろなものをつくり、自分の稼ぎにする。
そんな稼ぎ方があったといわれています。
アイヌの代表的な木彫り「二風谷イタ」ってなに?
アイヌ民族の木彫りの代表的なものとしては、
どのようなものがあるのでしょうか?
木彫りで近年注目されるようになったものといえば、
2013年に経済産業省の伝統的工芸品に指定された
二風谷イタというものがあります。
これは、二風谷地域でつくられる
アイヌ文様が彫り込まれた木製の盆です。
木彫りの中では、これが広く知られています。
お盆というと、どうしてもつるっとした物を置きやすい
盆をイメージしてしまいますが…
二風谷イタはどんなものなのでしょうか?
二風谷イタは、少し中がくぼんでいる
お盆の形をしているもの。
形はいろいろあります。材料は、もちろん木です。
木を彫ってつくられたお盆、というところでしょうか。
経済産業省に二風谷イタが登録されたこともあり、
最近はいろんなところでPRをされているようです。
注目の木彫り工芸品、ですね。
二風谷イタについてもっと詳しく知りたいという方は、
こちらを参考にしてみてください!
二風谷イタについて、とてもよくわかります。↓
二風谷(にぶたに)イタ・二風谷アットゥシって何?文化/素材/歴史まとめ | nanaon (nanaon7.com)
二風谷イタには、いろいろな彫刻が施されています。
モレウという渦巻き文様やうろこ彫り、
ひし形のような形のものも二風谷イタには施されています。
モレウというのは、形という意味です。
彫るときには基本的な要素があるのですが、
それに加えてこれらの形をいろいろと組み合わせ
オリジナリティーを出すことで、木彫り作家の個性として
良い味が出てくる、ということなんです。
それが、木彫り工芸品の見どころであり面白いところです。
木彫り作家自身が持っているオリジナルの
デザインの組み合わせ方によって、個性が出てきます。
地元の人たちが、作品を見て
「これは、あの人がつくったものだよね」
と、すぐにわかるほど。
全く同じものはない、ということですね。
世界からも注目を浴びる木彫り作家、貝澤徹の作品がすごい!
ここからは、造形作家として知られている
アイヌの作家について書いていきたいと思います。
どんな作家がいらっしゃるのかというと…
ものをつくる作家という意味ではつくり手は
昔からいるのですが、個人の名前で言うと松浦武四郎です。
みなさんも、1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
嵐の松本潤さんが演じたことでも知られる
「永遠のニシパ」の主人公、松浦武四郎。
これは、北海道を舞台にした物語です。
北海道開拓の時代ですね。
松浦武四郎が書いた「近世蝦夷人物誌」という本があります。
その本の中には、木彫り工芸品をつくっていた
個人の名前が記載されています。
近年では、作家性を強く持った人が時代の中でどんどん出てきています。
今、メディアでも取り上げられるなど注目を
浴びている木彫り作家に、貝澤徹さんがいらっしゃいます。
貝澤徹さんの作品は、日本だけでなく
海外からも高い評価を受けています。
数年前には、あの大英博物館にも展示されました。
貝澤徹さんの作品は、世界からも
注目されているんですね。
カナダの博物館にも展示されたことがあるのだとか。
そんな貝澤徹さんの作品の特徴は、
どういったものなのでしょうか?
貝澤徹さんは長い間トレーニングを受けて
伝統的技術を学びながら、ものづくりをしてこられました。
その技術力は、海外から認められるほど。
それを基礎として、自身のメッセージ性の
ようなものを作品の中に織り込んでいます。
それが、海外の博物館の学芸員の目に
留まったということなんです。
作品を見ているだけで何かしらのメッセージ性を
感じ取ることができる、ということなのだと思います。
貝澤徹さんのホームページで作品を拝見したのですが、
カブトムシやとんぼの形をしたものもあって、
これを木で彫っているとは思えないくらい、すごかったです。
作品それぞれに、生命力を感じます。
貝澤徹さんの作品をはこちらからご覧になれます。
ぜひ参考にしてみてください!本当にすごいです…。↓
貝澤 徹 Toru Kaizawa|職人・作品 Artisan & Products|二風谷アイヌ匠の道 Nibutani Ainu Takumi no Michi
貝澤徹アイヌアートを大英博物館や世界が評価!一族も大活躍! | ツイてる!366日 ♪ (hitorisanfan.com)
札幌駅のアイヌ文化に触れられる空間「ミナパ」に貝澤徹の作品がある?
貝澤徹さんの作品は、札幌でも見ることができます。
札幌の市営地下鉄の南北線札幌駅構内に
アイヌ文化に触れられる空間、「ミナパ」。
そこには、大きな翼を広げて立っているふくろうが。
これを彫ったのが、貝澤徹さん。
足を運んだ方はわかると思うのですが…
迫力がすごいです。
かなり大きなサイズなので、そのふくろうを彫るための
大きな木材を探すのに大変苦労したとのこと。
素晴らしい作品をつくるのには、
まず素材選びからということですね。
ミナパの見どころは、木彫りのふくろうだけではありません。
刺繍の作品もありますし、天井には
アイヌ文様がデザインされています。
そして、山崎さんが1番面白いと太鼓判を押すのが
天気予報のアイヌ語版!
その他にもいろいろな”チャレンジ”をしていると
いうことなので、この機会にぜひ立ち寄ってみてください!
ミナパについては、こちらで詳しくご覧になれます!ぜひ参考にしてみてください!↓
「ミナパ」だけじゃない!アイヌの木彫りが見られる場所は?
北海道内でアイヌ民族の木彫り工芸品を
見ることができる場所は、「ミナパ」だけではありません。
北海道各地の博物館や資料館には、たいてい
アイヌの木彫りが展示されています。
そして、今年オープンした白老町にある
民族共生象徴空間「ウポポイ」でも見ることができますよ!
ウポポイの中にある国立アイヌ民族博物館で、
色々な作品や史料を見ることができるので
ぜひ、足を運んでみてくださいね。
どんな点に注目すればいい?ミナパや博物館などで作品を鑑賞するときのポイント
木彫りの作品を鑑賞するにあたって、
どのような点に注目すればいいのでしょうか?
作品をつくったのは、当然作家なのですが
作家という面ではなく、個人がつくったものという
見方が大切になります。
その上で、実際どのような素材でつくられたのかにも
注目してほしいと思います。
使用されている木材は北海道で育った木、ですからね。
現代的な作品であれば、アイヌの伝統的な技術が
どのように応用されているのかも注目したいところです。
作家性、個性からはじまって、素材、そして
伝統的なものがどのようにつくられているかということですね。
北海道の自然や歴史から生み出されてきたものが、
アイヌ民族の木彫り工芸品。
本や文献などで読んで勉強するということも
大切なことですが、やはり実際に見て感じることが
大切だということなんですね。
木彫り工芸品に限らず、アート作品や芸術品は
実際に見ることでその人の感性に直接訴えかけるものが
あると思います。
そんな作品の数々に、みなさんもぜひ向き合って
見ていただきたいと思います。
まずは、実際に見て感じる。
そこからスタートしてみてはいかがでしょうか?
ここまで、アイヌ民族の木彫り工芸品について
お伝えしてきました。
みなさん、いかがでしたか?
今回のポイントは、個性。
ざっくりと”アイヌ民族の木彫り工芸品”といっても
当然そこには1人1人の作り手の個性があります。
ちなみに…
先程ご紹介した、「ミナパ」にある貝澤徹さんの
高さ2.5mもある大きなふくろうの木彫り作品。
大きく翼を広げたシマフクロウの足元を
よーく見ると…意外なモチーフが。
個性的なデザインが施されています。
可能な方はぜひ、ちょっとした外出のついでに
立ち寄って確認してみるのもいいかもしれませんね。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回もお楽しみに…♪