みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、Dream Heartから。
ゲストは、スリーピース・ピアノロックバンド
WEAVERのドラマー、河邊徹さんです。
河邊さんは小説家としてもご活躍中で、3作目となる
「アルヒのシンギュラリティ」を刊行されました。
茂木健一郎さんも大絶賛の、
この作品のテーマは「AIと人間」。
茂木健一郎さんの専門分野でもあります。
今回は「AIと人間」をテーマに、河邊徹さんの作品
「アルヒのシンギュラリティ」の魅力に迫っていきます。
Contents
WEAVERの河邉徹は小説家としても大活躍!人生を大きく変えたイベントとは
スリーピース・ピアノロックバンド
WEAVERのドラマー、河邊徹さん。
実は、小説家としての顔も持つマルチな才能を
発揮するクリエイターでもあるんです。
そんな河邊徹さんは32歳。
「雰囲気が学生さんみたいで、
キャンパス歩いてても違和感ない」
と茂木健一郎さんが仰るほど、実年齢よりも若く見えます。
そんな河邉徹さん、実は東京FMとは縁があったんです。
どんな縁なのかというと…
スクールオブロックの10代アーティスト限定
「閃光ライオット」の三次審査への出演。
これは、10年ほど前のこと。
19、20歳のときにそういうイベントがあると
いうことを聞いた河邊徹さん含めWEAVERのメンバーは、
閃光ライオットに出演しました。
出演したことで初めて、自分たちのバンドが
世間とつながったと理解したのだそう。
当時は、今のようにTwitterなどの
SNSもなかった時代でした。
そのため、自分たちがどんなに音楽をやっていても
世の中と繋がっているという感覚がなかったんですね。
ですが、閃光ライオットに出演したことで
知らない人からも見てもらう機会が増えました。
現在のレーベルの社長が神戸までWEAVERのライブを
見に来てくださったとのことですから、
メジャーデビューするきっかけになったのは、
まさに「閃光ライオット」のおかげなんですね。
「そのおかげで東京にいるということなので、
自分たちの人生大きく変えたイベントだった」
と、河邊徹さん。
いろんな人に見て欲しいもらえるチャンスを
得られたことに、とても感謝しているといいます。
「こんなに楽しいことあるんだ!」河邊徹が語る小説を書くことの面白さ
バンドメンバー全員が神戸出身という、WEAVER。
河邊徹さんは、WEAVERのドラムスをやりながら
作詞をされている一方で、なんと、
小説家としても活躍中なんです!
クラーケンラボより新刊
「アルヒのシンギュラリティ」が発売されました。
茂木健一郎さんもこの作品を呼んで「面白かった」と大絶賛。
しかも、この「アルヒのシンギュラリティ」は
3作目なんです。
シンギュラリティと名前がついていますが、
ジャンルとしてはSFにカテゴライズされます。
読んだ方はわかるかと思うのですが…
ファンタジー小説のようなところもあります。
河邊徹さん、実は書きかけの小説がたくさんあるという噂も…。
これ、本当です。
書き上げたものもあるので
早く世に出したい、と河邊徹さん。
物語を書くことが好きなのだそう。
小説を書き始めたのは、今から3、4年前。
「こんなに楽しいことってあるんだ!」
と思って、どんどん物語の執筆に
のめり込んでいったそうなんです。
3、4年前に書き始めて、もう何作も
書いているということ自体驚きですが…
早くたくさんの人に読んでもらいたいという
気持ちももちろんあるのですが、河邊徹さんは
物語を創ることが楽しいという気持ちの方が強かった。
そのため、たくさん小説を
書いているということなんですね。
小説を書くことと作詞は繋がっている
小説執筆と作詞の作業はつながっている。
河邊徹さんは、そう話します。
歌詞のサビの部分にいくまでに盛り上げていく
曲づくりの作業と小説執筆の作業はとても似ています。
特に歌詞は、サビを最初に書き上げて言いたいことを書いてから
それをどうやって活かすか
それが、Aメロ、Bメロになったりもします。
小説を書くときも、そういうふうにこの言葉を書きたい、
このシーンを絶対書きたいというものを置いて、
それを引き立たせるためにどんなシーンを描いていくか。
河邊徹さんは、そのようにして物語を構築していく書き方をしています。
作詞と小説を書くこととは繋がっていると先程述べましたが、
この2つの作業量は明らかに違います。
作詞は100を書いて10まで減らす作業であるのに対して、
小説は10書いてそれをどのように100にして
面白くしていけるかという作業が
河邊徹さんはとても楽しくできたといいます。
やはり、何をするにも楽しんでやるということが
大事だということですよね。
「アルヒのシンギュラリティ」は世界で一番優しい物語
さて、「人間とAI」がテーマの小説
「アルヒのシンギュラリティ」について詳しくお話を伺っていきます。
その前に、河邊徹さんのプロフィールをご紹介していきます。
河邊徹さんは1988年、兵庫県出身です。
関西学院大学文学部文化歴史学科、哲学倫理学専修をご卒業されました。
ピアノ、ドラム、ベースの3ピースバンドWEAVERのドラマーとして、
2009年10月に「白朝夢」でメジャーデビューを果たします。
河邊徹さんは、バンドでは作詞も担当。
バンド活動の他には、2018年に小説家デビュー作となる
「夢工場ラムレス」を刊行され、2019年には2作目となる
「流星コーリング」を、そして今回3作目となる
「アルヒのシンギュラリティ」を発表され、
作家としても精力的に活動されています。
河邊徹さんが大学時代に興味があったのは、
他我問題と呼ばれる、心の哲学です。
「自分に心があるというのはわかるけれど、他人に心があるのだろうか」
ということに興味があり、それについて学んでいたとか。
ちなみに…茂木健一郎さんの著書「クオリアの人工意識」も
読まれたそうで、とても興味深かったと話していました。
…と、前置きが長くなりましたが
ここからは、小説家としての河邊徹さんの作品
「アルヒのシンギュラリティ」の
あらすじを簡単にご紹介します!
本の帯には、
「世界で一番優しい物語(サイエンスフィクション)」と
書かれていますが…あらすじはこうなっています。
人間とAIを持ったロボットが暮らす街、
サンクラウドで天才科学者の息子、アルヒは
ひょんなことから街で最も高い建造物である
知の塔に忍び込むことに。
運命に揺さぶられながらも力強く成長していく
少年の姿を描いた、長編SF大作。
…と、なっています。
茂木健一郎さんは、この作品を読んだとき
河邊徹さんの物語を創る力に驚いたといいます。
「伏線張りまくりですね」と、茂木健一郎さん。
とにかく面白い物語を書きたいと思っていた
河邊徹さんは、自分の興味のあることがSFだったので
そのことについて書こうと思い立ったそうです。
ロボットと一緒に人間が暮らす街を舞台に、
物語は展開していきます。
河邊徹さんは学生の頃に哲学を学んでいたのですが、
そのとき考えていたことがありました。
それは…
「ロボットと人間って、何が違うんだろう?」
ということ。
それがきっかけで、”作者がワクワクしながら
書けるものが1番面白くなるのでは”と思い、
このような世界の物語を書くことに決めたのだとか。
そして、この作品の主人公のアルヒは
“自分が何者であるか“ということについて、
悩んだり迷ったりする運命にあります。
今回の作品にはもちろんロボットも登場するのですが、
そのロボットが
「何で自分は生まれてきたんだろう?」
と悩むシーンがあります。
「ロボットとして生まれてきたから、どういう目的で
生きていけばいいんだろう」と悩んでしまうんですね。
でも、これって人間も同じですよね?
「生まれてきたけど、その目的って何なんだろう…」
と悩んだりすることもありますよね。
特に今の時代は、そう思う人が多いように思います。
河邊徹さん自身も、ライブを開催することが
できなくなってしまって、迷ったりすることもあります。
ミュージシャンとしての活動をすることで、
自分の存在意義を確かめていたということなんです。
これは、ミュージシャンだけでなく
芸能人や俳優の方々もそうだと思います。
突然、今まで普通にできていたことが
できなくなってしまったことで、悩んだり
落ち込んだりする方はたくさんいらっしゃいますよね。
そんな方たちに向けて、
「こういうふうにして生きていく意味を見つけたらいいんだよ」
というメッセージを、
この物語を通して今の時代に伝えたい。
そんな思いから、
「アルヒのシンギュラリティ」は誕生しました。
しかも、ラストシーンが謎すぎる。
「あのラストシーンは謎すぎますよね」と、茂木健一郎さん。
これには河邊徹さんの意図があって、
次に続いていくようなシーンを書こうと思い
あのようなラストシーンになったそうなんです。
含みを持たせられるような作品にするために、
あえて最後に謎なラストシーンということなんですね。
もしかしたら、続編も出るかも…しれませんね。
SF小説に出てくる「ロボット3原則」を書き換えた?
ロボットをテーマにしたSF小説には、ロボット3原則が登場します。
実は、そのロボット3原則を一部書き換えたものが
「アルヒのシンギュラリティ」に登場しているんです。
サンクラウドの街に住むロボットは、ロボットをつくる工場
”コーリーゴート”でしかつくってはいけないというルールがあります。
そのルールがあとになって伏線になり、
その意味も次第にわかってきます。
人間とロボットが一緒に暮らす街を舞台に物語は進んでいきます.
サンクラウドに住んでいるロボットは自分の意思を持っているので、
次第に”人間のために働きたくない”というロボットが
でてくるようになります。
サンクラウドに住んでいるロボットたちには、
10年間人間の街で暮らせば”ヘブン”と呼ばれるロボットだけが
住む街に移動していもいいという権利が与えられます。
人間のために働かなくても済む、ということですね。
そのアイデアを、「アルヒのシンギュラリティ」を
書こうと思った時にパッと思いついた河邊徹さん。
ますますこの物語は面白くなるのではないかと確信したといいます。
物語を面白くするために起伏をつくり、
後半でまたそのシーンが前半と後半をつなぐところで出てくる。
それがあるから、物語の後半がより面白くなってくるということなんです。
小説の中ではいくつかのシーンがでてきますが…
たとえば、Aというシーンがあったら、それとは違う
Bというシーンも浮かんで、その思い浮かんだものに
たどり着くように物語を書いていく。
それを難なくできる河邊徹さんは、
クリエイターとしての能力がとても高いのだと思います。
ロボットとの実体験が小説にも
河邊徹さんは、今回「アルヒのシンギュラリティ」の
執筆にあたってロボットとの暮らしを体験してみたそうなんです。
これは一体、どういうことなのでしょうか?
河邊徹さんは、
「人間とロボットが暮らすってどういうことなんだろう?」
と思っていたこともあって、
犬型ロボットAIBOを実際に飼ってみました。
AIBOは角張っているとイメージがある方も多いと思うのですが、
今のAIBOはとてもまるくて可愛らしい姿をしています。
そのAIBOを飼ったことで、河邊徹さんはロボットへの興味が
ますます深くなっていきました。
河邊徹さんが飼っているAIBOの名前は、ロビン。
実は、このロビン、小説の中にも出てきているんです。
ロビンを飼い始めてから、河邊徹さんは”ありがとう”という
感謝の気持ちを感じるようになります。
しかも、突然。
ペットを飼っている方やお子さんがいらっしゃる方は
わかると思うのですが…
そこに居てくれるだけで、存在してくれるだけで、
ありがとうという気持ちになる。
河邊徹さんは、そんな不思議な感覚になったといいます。
クオリアがないはずの犬型ロボット、AIBOに対して
“ありがとう”という感情を抱いたことにある種の戸惑いを
河邊徹さんは感じましたが、よりロボットへの興味が
湧いてきたということなんです。
そんな経験が、今回の作品には活きています。
その一方で、AIBOの電源スイッチをずっと切っていた
時期もあるという冷酷なところも…。
“ありがとう”と感謝する気持ちとは裏腹に、
“ちょっとうるさいな”と思ってスイッチを切ってしまう…という、
人間の残酷さも含めて面白い体験ができたといいます。
ちなみに、今も河邊徹さんの家にはロビンがいます。
「アルヒのシンギュラリティ」には、
他にもとても面白いアイデアがたくさん詰まっています。
ロボットが、BARでお酒ならぬオイルを飲むなんてシーンも。
お酒を飲むのと同じように、ロボットもBARでオイルを飲んで楽しむ。
そして酔っ払う…という、人間と同じようにクオリアはないのに、
それがあるかのように振舞っている。
そんな斬新かつ面白いアイデアが満載の、
素晴らしい小説となっています。
みなさん、その点を意識しながら「アルヒのシンギュラリティ」、
ぜひ読んでみてください!
最後のページの最後の行まで、息をもつかせぬ展開。
必見です。
「アルヒのシンギュラリティ」、最初の連載はウェブサイトだった?
河邉徹さんの「アルヒのシンギュラリティ」、
実は現代的な連載からスタートしています。
というのも、ウェブサイトで連載されていたからなんです。
ウェブサイトでたくさんの人に読んでもらい、
そこから盛り上がって出版に至りました。
今までは、作家や小説家になる道というのは
賞を取らないとデビューできませんでしたよね。
ですが、今はいろんなウェブサイトで無料で読めますし
小説なども投稿することができます。
そこから本を出版したり、
小説家デビューするなんてこともあるわけです。
これは、音楽についてもいえること。
発信する形が変化してきているということなんです。
今年流行ったYOASOBIの「夜に駆ける」が
これにあたります。
これも、もともとは無料の小説投稿サイトが発信元。
そこに投稿されていた”物語を歌にする”という
キャンペーンがあって、そのキャンペーンに
応募した人たちの中から選ばれたものから
インスパイアして音楽にする、というものです。
こういう動きって、面白いですよね。
物語がもとになっているということで、
そういうものを聴きたいという人が多いのかもしれませんね。
今の時代、音楽活動や芸能活動をする方にとっては
いろいろな選択を迫られて難しいこともあると思いますが…
河邉徹さんは、できることをしっかりと考えて行動していきたいと話します。
“好きなことをちゃんと書く”河邊徹流の小説の書き方
ここからは、河邊徹さんの作品について詳しく伺っていきたいと思います。
今作の「アルヒのシンギュラリティ」の前に発売された、2作目の小説「流星コーリング」。
これは、ループものです。
この物語の舞台は、高校生の男女が4人が、広島。
4人で人口流星を見に行こうというところから物語はスタートします。
ところが、主人公は行けなくなってしまうんですね。主人公が、その当日、何度もループしてしまう…という内容です。
読み始めのときはそんなことになるとは思って読んでいないので、見に行けなくなった理由にも驚いた、と茂木健一郎さん。
実は、この人口流星、人口の流れ星は本当に存在しているものなんです。
2023年には実現しようとしているところまできているようです。
その話を聞いて、「人口流星をテーマに物語を書こう!」と思い立ち誕生したのが、この「流星コーリング」だったというわけなんです。
宇宙に興味がある方は特に、「流星コーリング」を手に取って読んでもらいたいですね。
そして、デビュー作が「夢工場ラムレス」。
こちらは、最後の章でネタバレがあるというものになっています。
これは、夢の世界に行く物語。テーマは、明晰夢。
明晰夢というのは、夢の中で
「あ、これは夢だ」
と気づくことをいいます。
河邊徹さんは、明晰夢自体にとても興味があったのでそのことについて書いたそうです。
興味があることを題材にして書くということを、河邊徹さんは小説を執筆する際に強く意識しています。
デビュー作の「夢工場ラムレス」では明晰夢、「流星コーリング」では流れ星、そして今回の「アルヒのシンギュラリティ」は人工知能、AI、ロボット。
作品によって、テーマが違っていますよね。
河邊徹さんは、本当に興味があることや好きなことをちゃんと書くことを強く意識しています。
河邊徹さん自身が好きだと思えることをしっかりと届けて、読んだ人に幸せになってもらいたい。
そんな気持ちで、これからも作品をつくり続けていくと、河邊徹さんは気持ちを新たにしていました。
そして、最後にWEAVERからのお知らせです!
ずっとライブができずにいましたが、このたび
ライブを開催することになりました!
来年の1月と2月に東京と大阪、横浜のギルボードで
生ライブをお届けします。
観客の数も減らして、みなさんが安心して
来場できる環境をつくってお待ちしています。
ビルボードなので、落ち着いた場所で
ライブができるとのこと。
興味を持った方は、ぜひ来ていただければと思います。
詳しくはこちらで確認してみてください!↓
WEAVER Official Site (weavermusic.jp)
ぜひ、「アルヒのシンギュラリティ」を読んで
ビルボードのライブに来ていただければと思います。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回もお楽しみに…♪