岩合光昭が語る「世界ネコ歩き」猫を半世紀も撮り続ける理由とは

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みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪

今回は、ドリームハートから。
ゲストは、動物写真家として活躍中の岩合光昭さんです。

ネコたちの1年を追ったドキュメンタリー映画
「劇場版 岩合光昭のネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族」

1月8日から公開となっています。

気持ちもほっこりする、この映画の魅力について伺っていきます。

 

Contents

大ヒットの「世界ネコ歩き」の映画第2弾が公開!

 

 

 

NHKBSプレミアムで放送されている「岩合光昭の世界ネコ歩き」。
ご覧になったことがある方もいらっしゃるかと思います。

この番組は、今年で9年目を迎えます。

人のいるところには必ずネコがいる。
そう語る、岩合光昭さん。

つまり、世界中にネコがたくさんいるということです。

岩合光昭さんが回ったロケ地は、140ヵ所
それでも、まだまだ少ないほうだといいます。

岩合光昭さんは、動物の写真を撮って50年になります。

ネコの写真はもともと撮っていたのですが、BSのテレビ番組が
始まってからは仕事のうちの7割、8割がネコに関する仕事に

岩合光昭さんは、日本自動車連盟の会合誌に野生動物の写真を
載せているのですが、

「あ、岩合光昭さん動物の写真撮られるんですね」

 

と言われることも。

 

本当は、逆なんですけどね。

 

プロの写真家として活躍し、ナショナルジオグラフィックの表紙を
飾られている世界的なキャリアを持った岩合光昭さんが、
ネコの番組でお茶の間の人気へと発展
しました。

BSプレミアムの番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の劇場版第2弾が、
「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族」。

現在公開中です。

第1作目は、テレビの世界ネコ歩きを再編集してつくったもの。
それを劇場で公開しました。

今回は新しく撮ったもので構成をした映画になります。
そして岩合光昭さんは今回、監督も務めていらっしゃいます。

映画監督として最初に撮られたのは、「猫とじいちゃん」。

「猫とじいちゃん」は、いわゆる演出された劇場映画でしたが
今回は、ドキュメンタリーの監督を初めて務めています。

 

北海道とミャンマーで暮らすネコを激撮

 

 

今回の映画の舞台は、北海道とミャンマー

そもそもネコとはどんな存在なのか
人間とネコの関係は何なのか

そんな深いところにまで響くのが今回の映画です。
ネコ映画というカテゴリーを超えた感動があります。

ネコは、みなさんもご存じの通り自由に歩き回ります。
そのため、カメラでフォローしていくのが大変です。

しかし、岩合光昭さんは”撮りがいがある動物”だと話します。

 

岩合光昭さん曰く、

 

わからないだけに魅力があるし、深いところがネコにはある
もちろん、人の方が深いと思うんですけど、人の世界ではない
 ネコの世界で、ネコたちがどういうふうに動きを見せるのか
そのことに普段から興味があったので、つくりました」。

 

茂木健一郎さんも絶賛するこの映画の魅力について
さらに詳しく深堀りしていきますが…

その前に、岩合光昭さんのプロフィールをご紹介していきます。

岩合光昭さんは1950年、東京都のお生まれです。

お父様は、日本における動物写真家の草分け的存在といえる、
岩合徳光さんでいらっしゃいます。

19歳のときにお父様の助手として訪れたガラパゴス諸島の
自然の驚異に圧倒され、動物写真家としての道を歩み始めることを決意

それ以降、地球上のあらゆる地域をフィールドに撮影を続け、
ご活躍でいらっしゃいます。

1979年には、「海からの手紙」で写真界の芥川賞といわれる
木村伊兵衛写真賞を受賞されました。

岩合光昭さんの写真は美しく想像力をかきたてる作品として
世界的に高く評価
されている一方、身近なネコを半世紀以上
ライフワークとして撮り続けていらっしゃいます。

この木村伊兵衛賞をとられたのは、岩合光昭さん29歳のとき。
これは、木村伊兵衛賞としては早い方です。

20代からずっと旅ばかりの生活をしていた岩合光昭さんは、
27歳の時にレイチェル・カーソンの「我らのエーブル(海)」
という本に感銘を受けます。

それを見たことがきっかけで、”これを写真として撮りたい”という
思いが、岩合光昭さんの中で日に日に膨らんでいきます。

そんな中、岩合光昭さんは当時朝日新聞社から刊行されていた
雑誌の編集長にかけあいます。

返ってきた答えは、

 

「じゃあ、やってみたらいいよ」。

 

編集長からOKをいただいたことで、岩合光昭さんの写真が
3年半も連載されました。

賞をいただいたときは、”これで食べていける”と思ったといいます。

写真界の登竜門といわれる木村伊兵衛賞を受賞したことで、
プロの写真家として鮮烈なデビューを飾られました。

その後、ナショナルジオグラフィックの表紙に岩合光昭さんが
撮った写真が2回も採用される
という輝かしい功績も残されています。

ナショナルジオグラフィックに特集を組まれるというのは、
岩合光昭さんにとっての夢でした。

その目標を早くも35歳の時に達成したということなんです。
すごいですよね…。

しかも、これはかなり長い特集で45ページもあるといいますから…
すごいです。

 

「世界ネコ歩き」最初は5分しかなかった? まさかの予告編と誤解

 

 

さて、そんな世界的なキャリアを積まれている岩合光昭さんが
日本でも大人気に。

その理由というのが、「世界ネコ歩き」です。

 

そもそも、「世界ネコ歩き」が始まったきっかけというのが

 

「NHKのBSの番組で特集の番組があるんだけど、ミニのコーナーで
4、5分でネコを撮ってみないか」

 

と問い合わせをいただいたこと。

 

驚くべきことに、最初は4、5分というとても短い番組だったそうなんです。

その番組をオンエアしたところ、視聴者のみなさんから

 

本番はいつ流れるんですか?

 

という声が届くようになりました。

 

予告編だと思われたんですね。

 

そこで、ディレクター、プロデューサーを含めて話をした結果、
番組をつくることに。

最初は、3分だけという短い長さでした。
それが4、5分になり国内で撮影した番組も完成。

トルコ、ギリシャ、イタリアの3カ国を回ってつくった
3本の番組も放送されました。

岩合光昭さんは、”3本できっと終わりかな”と思っていたのですが、
視聴者から多くの反響があったということで、
9年間も番組が続いている
というわけなんです。

岩合光昭さん自身、”この番組をつくったら絶対ヒットする”と
感じていたとのこと。

目論見どおり、というわけですね。

 

ネコを見て感じる人間の”野生”が感じられる作品に

 

 

その大ヒット番組を背景として今回、ネコたちの1年を撮った
ドキュメンタリー映画がついに完成しました!

 

タイトルは、

 

「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族」。

 

映画の中には、北海道の牧場でネコと牛が
じゃれあっている
場面があります。

映画の撮影を始めたのは、一昨年から。

2021年が丑年だということも、頭の隅にはあったそうです。

ネコと牛が一緒に暮らしてる場所があったらいいなということで
探していた岩合光昭さんが候補地として挙げていたのが、北海道。

実際に行ってみると素晴らしいところだったので、
ぜひロケ地に、ということで北海道で撮影を行いました。

牛とネコが牧場の中で一緒に暮らしている

それは、決してネコたちがどこからかやってくるのではなく、
牛と一緒に寝泊まりをしているんです。

そういった意味で互いに同じ家の下で暮らす家族のような
関係なのかもしれませんね。

岩合光昭さんの撮る映像からは、ペットとしてのネコというよりは
半分野生動物のように見えてきます

実はこれ、岩合光昭さんの狙いなんです。

私たち人間にも当然、野生はあります。
その野生をネコの動きを見ていることによって、ハッと気付かされる。

それが、私たちがどこかへ置き忘れた”体の中の野生だ”と
岩合光昭さんは言います。

それを、岩合光昭さんなりにネコを見ながら
“野生を感じる”ところで次々とシャッターを押していく

岩合光昭さんが感じている野生を視聴者の方も
感じているといいますから、これは不思議なことですよね。

 

大絶賛される写真はどれも「心が動いた」写真

 

 

岩合光昭さんはインタビューの中で、「この写真いいですね」と
絶賛される写真は、カメラを構えている岩合光昭さん自身の
心が動いた写真
だと仰っています。

琴線に触れたところを本当に真っ直ぐに素直に見ることを
大切にシャッターを切っていく

岩合光昭さんは、写真を撮る際にそれを心がけています。

 

いわゆる、ネコ好きの映画ってありますよね?
でも、この映画は違います。

岩合光昭さんの動物写真家としての長いキャリアが、
映像に凄みと本物感と深みを与えていて、心が打たれる

そんな素晴らしい映画です。

ネコ好きの映画と思って劇場に行くと…
良い意味で裏切られます

岩合光昭さん自身も、自分でつくっておきながら
思わず涙が出そうになったといいます。

自分でつくったものが別の生き物として
大きなスクリーンで映し出されている。

自分の手から離れて別の生き物が動いているような感じだったとか。
なんだか、不思議な感覚ですね。

 

ムービーカメラとスチールカメラの二刀流で撮影

 

 

ムービーカメラも岩合光昭さんが回されています。
と同時に、スチールカメラも回しているんです。

小さなスチールカメラは、いつも首から提げているという
岩合光昭さんの必需品。

被写体は動くネコなので、しっかりとしてシャッターを
押さなければなりません。

その場ではムービーカメラを回しながらも、
スチールカメラで撮影も行うようにしています。

2つのカメラを使いこなすとは…忙しいですね。

ムービーカメラもスチールカメラも、
基本的に確認するのは光の動きや影です。

その点は特に大切にしています。

「猫とじいちゃん」のときはスタッフが
70人くらいだったのですが、今回はたったの5人

1人で何役もこなさなければならないことに…。

カメラも2台使いこなさなければならないので、本当に大変です。

岩合光昭さんは、光をとても気にするカメラマン。

ネコの動きと同時に、どう光を取り込めば良いかという点が
今回の映画を撮る上で苦労したとのことです。

岩合光昭さんの作品の特徴は、岩合カラーと絶賛されている
色合いと光の当たり方映像が圧倒的に綺麗です。

カメラは4Kでとても大きいので、ネコにもカメラに
慣れてもらう必要があるります。

カメラを最初ネコの前に置くと、当然ですがとても驚いた表情をします。

それでも、そこは慣れ。
カメラに慣れてもらわないと始まりませんからね。

演出ができるわけではないからです。

ネコを撮る意味で1番気をつけなきゃいけないところは、
まさにこの点にあります。

 

ミャンマーのネコ家族から見えてくるネコの生き様と共生の在り方

 

 

今回の映画の舞台は、北海道とミャンマー。

ミャンマーは、雨季、乾季で全く風景が変わってしまう
ところでのネコたちの生活にも素晴らしいものがあります。

映画では、高床式の水の上に立っている人間の家に暮らす
ネコたち
が登場します。

人の一家とネコの一家が一緒に暮らしているのが、
これ以上望めないほどのシチュエーションではないでしょうか。

 

今回撮影に協力してくださったミャンマーのご家族は
飾らない方だったので、

 

「寝ているところから取らせていただいてもいいですか」

 

と尋ねたところ、

 

「ああ、いいよいいよ」と快諾してくださいました。

 

奥さんが先に顔や髪も洗う場面も。
そのときに、岩合光昭さんがとても驚い出来事があります。

それは、ネコが顔を洗っている場面
あのシーン、実は撮影側が演出しているわけではないんです!

ネコも顔を洗っているなんて、俄には信じられませんが…事実です。
自然に、あるがままに撮影を行いました。

岩合光昭さんの驚きもきっと、ご覧いただいた観客の
みなさんにも伝わっていると思います。

人が生きること、そして人が動物と共生することの意味
深く考えさせられる素晴らしい映画です。

 

中村倫也がナレーション ときどき、岩合光昭のつぶやきが…?

 

 

今回の映画は、中村倫也さんがナレーションをしています。
ですが、ときどき岩合光昭さんのつぶやきも…。

実は、カメラには被写体に向かってのマイクと
岩合光昭さんに向かってのマイク
が2つついているんです。

テレビでもそうなのですが…迂闊なことをいうと、
それがそのまま使われてしまうんですね。

ディレクターが、

「あ、これ面白いね」というように。

 

なので注意しなければいけないんのですが、気が緩んでしまったのか
思わず口にしたつぶやきを、マイクが拾ってしまったんですね…。

岩合光昭さんは今作では監督も務めていますから、

「これは使ってもいいな」
「これは使わないほうがいいかな」という判断は自ら行いました。

実際には、ONで撮ったものもあります。
その他はまとめて撮影を行いました。

そのことが影響したからなのか、臨場感が溢れる作品になっています。

今回の映画を見て気づいた方もいらっしゃるかと思いますが、
ネコには名前がついていますが、出てくる人間には名前がありません。

もちろん、エンドロールには出てきます。

なぜ、ネコにだけ名前がついているのか。

それは、ネコの物語にしたいからです。
この映画の主人公はあくまでもネコ。人間の物語ではありません。

そもそも動物とは何なのか、一緒に住むということはどういうことなのか。そして、ネコと人間性の関係から、ネコの生き様まで…。

それらが大きなスクリーンから伝わってきて、世界各地で動物の写真を
撮られている岩合光昭さんならではの素晴らしい映画となっています。

1度見ても、2度、3度と見たくなる。そんな素晴らしい映画を、
みなさんもぜひ見ていただければと思います。

 

中村倫也は“キツネ派”、「世界ネコ歩き」岩合光昭とのトーク映像公開 – 映画ナタリー (natalie.mu)

 

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回もお楽しみに…♪

 

 

 

 

 

 

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