みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回のテーマは、シマフクロウ。
日本では北海道のみに生息する世界最大級のフクロウで、
絶滅が危惧され国の天然記念物に指定されています。
前回に引き続き、北海道博物館学芸員の表渓太さんに
シマフクロウについてお話を伺いました。
今回のポイントは「難しい」。
一体何が難しいのでしょうか?
みなさんも、一緒に考えてみてくださいね!
Contents
シマフクロウはどんな場所に巣をつくる?
シマフクロウは、大きな木のうろにつくります。
シマフクロウは、自分で穴を掘ることができません。
そのため、もともと自然にあいている穴を使うしかないんです。
シマフクロウがつがいで入るとすると相当大きな穴が必要なので、
大きな木がないと大きなうろもありません。
巣を作るのにも、かなり難しい住宅事情あるようです。
シマフクロウの子育て事情
シマフクロウのメスは1度に何個くらいの卵を生むか、
みなさんわかりますか?
シマフクロウは、卵を1個か2個しか産まないんです。
鳥によっては5つも産むものもいますが、
シマフクロウは1個か2個なのだとか。
意外と少ないですよね。
卵を温めている期間はだいたい35日ほど。
1ヶ月とちょっとですね。
ヒナがなかなか独り立ちできない深い事情
ひなが生まれてから孵化して
1ヶ月半もすると、ひなは巣立っていきます。
ですが、この巣立ち方も他のシマフクロウとは一風変わっています。
というのも…巣からポロッと落ちてしまうからなんです。
巣立つといっても、バタバタとはばたいていくよりは
ポロンと下に向かって落っこちてしまうのだそう。
落っこちてしまったヒナは、自分で歩き回って
親がエサを持ってきてくれるのをただひたすら待ちます。
巣からコロンと出てからも、しばらくは
お父さんとお母さんに約1年間育ててもらいます。
意外と長い時間、面倒を見てもらうということなんですね。
最近は、子供が巣立ち一人前になってどこかに
旅立つ場所が少なくなっています。
その結果、行く場所がない子供が親のもとに居候することも。
ちょっとニートっぽいシマフクロウもいるみたいですね。
自立するにも、住宅事情が重なってきてしまっているわけなんです。
シマフクロウは「留鳥の中の留鳥」
季節ごとの渡りをしないで同じ地域にとどまる鳥は、
留鳥と呼ばれています。
シマフクロウは「留鳥の中の留鳥」。
1年中自分の縄張りをつくって、基本的にそこで暮らしています。
ここが縄張りだと決まったら、ずっとそこで過ごします。
独り立ちしてからは、自分の場所を守る。
それが、シマフクロウという鳥です。
シマフクロウは石狩、函館にもいた?
今は百数羽ほどのシマフクロウですが、昔はもっとたくさんいました。
石狩や函館にもシマフクロウがいたという記録は
史料にも残っています。
どのくらいいたのかという詳しい数はわからないため、
推測にはなってしまうのですが…
今ある北海道の川がそばにある森にシマフクロウが住んでいたと
仮定すると、恐らく1000羽以上はいたはずだといわれています。
開発により奪われたシマフクロウのすみか
それでは、なぜ1000羽ものシマフクロウが数百羽にまで
数が減ってしまったのか。
その理由には、人の活動が大きく関係しています。
この100年ぐらいで人間が農地をたくさん広げるなど
開発を進める中で森を切りひらかれてきました。
それにより、大きな木も伐採されてしまいます。
大きな木がなくなってしまうと、シマフクロウは巣をつくれません。
その結果、シマフクロウの住宅がなくなっていってしまったんです。
そしてもう1つ、シマフクロウが数を大きく
減らしてしまった理由があります。
シマフクロウは、たくさん魚が取れる川でないと
生きていくことができません。
開発によって川が汚染されたり、シマフクロウが魚を
たくさんとってしまいサケの仲間がとれなくなったりすると
たちまち食糧難になってしまうこともあります。
シマフクロウの保護活動は巣箱と食料支援
では現在、どのような保護活動が行われているのでしょうか?
シマフクロウの保護活動が始まったのは1980年代。
シマフクロウの住宅と食料を支援するというのが基本でした。
具体的にいうと、魚が少ないところでは魚を池に飼って、
その魚をシマフクロウがとれるようにしました。
シマフクロウは生きた魚しか食べないので、シマフクロウに
食べてもらうために魚を飼っておく場所を多くつくるように。
また、シマフクロウのすみかとなる木の”うら”の
代わりとなる巣箱をたくさんかけることにしました。
この、巣箱というのもハトが入る、
可愛らしいサイズのものではありません。
シマフクロウが入らなければいけないので、
ドラム缶のような大きさ、形の巣箱を木にかけています。
今では8割ぐらいのシマフクロウが、巣箱でヒナを子育て中!
実際にその巣箱を使ってくれているということなんですね。
逆に言うと、箱がないとシマフクロウの数が減ってしまう
可能性もあるということです。
この保護活動が現在、結果として効果的だったようです。
実際のいけすのように生きている魚を用意してはいますが、
あまりエサをやりすぎるのも問題だということで
少しずつ減らしているところもあります。
北海道内でシマフクロウを見られる施設は?
北海道内でシマフクロウを直に見ることができる施設は、動物園です。
1番たくさんいるのが釧路市動物園。
釧路市動物園では、繁殖にも成功していて
シマフクロウのヒナも生まれています。
旭川動物園にも、釧路市動物園で飼われていたシマフクロウがいます。
引越しをしたということなんですね。
鳥好きには魅力的なシマフクロウ
観光客の目から見ても、あるいは海外で研究している人にとっても
シマフクロウは魅力的な鳥。
特に鳥好きの目には魅力的に映るかもしれません。
シマフクロウの研究者はそれほど多くないので、これからも
いろいろとわかってくるところがあるのではないかと思います。
フクロウとミミズクの違いって何?
みなさんは、フクロウとミミズクの違いはご存じですか?
実は、基本的にはほとんど違いはありません。
もともと”ズク”は古い言葉でフクロウのことをいっているそうです。
飾り羽を耳に見立てて、耳があるフクロウ=ミミズクといっていたとか。
シマフクロウには耳があるのに、なぜかミミズクとはいわず
フクロウといっていたりします。
統一されていないので、あまり気にしないくても大丈夫ですよ。
パッと、シマフクロウというとコンサドーレの
ドーレくんをイメージする方もいらっしゃいますよね?
ドーレくんにも、耳のような飾り羽がついています。
みなさんもぜひ、ドーレくんを見る機会があれば確認してみてくださいね!
ドーレくんのチャームポイントは、飾り羽ですよ、みなさん!
北海道博物館学芸員からみたシマフクロウの魅力とは?
北海道博物館学芸員の表さんからみた
シマフクロウの魅力はどんなところなのでしょうか?
シマフクロウが生きている森には川があって、大きな木があって
とても豊かな環境があります。
そんなシマフクロウがいる森はとても美しく、
魅力があふれています。
できることなら、北海道あちこちがそんな森になればいいですよね。
シマフクロウは北海道のあちこちにいたといわれていますし、
札幌付近にもいたという記録も残っています。
そういう森が、また復活することを願って。
シマフクロウの保護活動は、まだまだ続きます。
まとめ
今回のポイントは、難しいでした。
巣を作るには大きな木がないと難しい。
森の近くに川がないとエサをとるのが難しい。
ヒナが成長しても住む場所を探すのが難しい。
シマフクロウが生きていくのって、大変なんですね。
保護活動は一歩一歩実を結んできているということで、
かつてのように、どの森にもシマフクロウが住める。
そんな未来が訪れますように。