みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
全国の様々な場所にスポットを当てて、普段気づかなかった日本の魅力を再発見していく
耳で聴くフリーペーパー「apollostation Drive Discovery PRESS」。
編集長のホラン千秋さんが、毎週様々なゲスト特派員をお迎えして
魅力的なローカル情報をたっぷりお届けしていきます。
今回のゲストは、フリーペーパー「灯台どうだい?」の編集長で
灯台マニアの不動まゆうさんに、灯台のディープな世界を伺っていきます。
どうぞ、最後までお付き合いください!
Contents
灯台マニア・不動まゆうが灯台にハマったきっかけとは?
海の道しるべ、灯台は今日も休まず海に出た人たちを安全に港に帰すように、
毎晩毎晩光っています。
そんな灯台の誠実さ惹きつけられた、不動まゆうさん。
なんてったって、灯台は見返りを求めないギブアンドギブの存在ですからね。
フリーペーパー「灯台、どうだい?」の編集長である不動まゆうさんが
灯台にハマったきっかけは何だったのでしょうか?
それは、今から16年ほど前にまでさかのぼります。
そのとき、不動まゆうさんは真っ暗な海にいました。
「あっ、夜の海って怖いな」
「不安だな」
そう思っていたときに、対岸から光が飛んでくるのが見えました。
その光はとても柔らかくて温かい。
そんな雰囲気を、不動まゆうさんは感じ取ったそうです。
不動まゆうさんが見た旋回する灯台の光は、灯台にもよりますが回数が決められています。
例えば、犬吠埼(いぬぼうさき)灯台では15秒に1000光。
10秒、または15 秒でどのくらい光るのか。
その回数が決められているということなんですね。
不動まゆうさんは、その光を見て
「光ってこんなに安心感を与えるものなんだ」
と思ったそうです。
高層ビルの一番上に光っている赤いランプ、
みなさんも一度は見たことがあるかと思います。
そのランプって、一定のペースで光っていますよね?
まさに、呼吸している感じですね。
先程、真っ暗な海に行ったと述べましたが
そのときの不動まゆうさんはいろいろと思い悩んでいたそうなんです…。
それを聞いたホラン千秋さん、
「真っ暗な海と聞いたとき、なんかそうなのかなと思った」
と、どうやら予想はしていたようです。
が、あえて触れずにいました。
不動まゆうさんが真っ暗な海に行った理由は、大失恋をしたから。
「ああ!海が呼んでる!」
と、ホラン千秋さん。
「もう、海に行って忘れてやる!」
と思って行ったものの、だんだん暗くなってくると何も見えないし、とても怖い。
そう思っていたときに、海から灯台の光が飛んできたというんです。
まるで背中をなでてくれているような、
慰めてくれているような感覚になったといいます。
そのときは灯台についての知識はなかった不動まゆうさんですが、
「灯台って、人々を守ってるんだ!」
と、不動まゆうさん自身灯台にとても元気づけられました。
それが、不動まゆうさんが灯台にハマったきっかけです。
灯台はどんな役割をしている?
灯台は、現在果たしている役割。みなさんはなんだと思いますか?
冒頭でもチラッとお伝えしたのですが、灯台は昔から変わらず
船にとって場所を伝える”道しるべ”のような役割を果たしています。
今は技術の進歩によりGPSなどで電子の地図の上で自分がどこにいるのかがわかりますが、
昔はGPSは当然ありませんでした。
そのため海図を見ても、今自分の船がどこを進んでいるのかがわかりません。
近くに危ない暗礁があって乗り上げてしまっては座礁して大変なことに…。
なので、暗礁には乗り上げてはいけないんです。
それでは、昔の人々はどのようにして方角や自分が進んでいる航路がわかったのか?
その理由は、灯台の光と角度にあります。
灯台の光と角度がわかれば、海面上で
自分がどこにいるのかピンポイントでわり出せるからです。
そうすると、
「もうちょっと右に行くと危ないぞ」
と、航海者に伝えることもできます。
灯台によっては、
「灯台のこっち側の方向には危ないぞ暗礁があるから、こっちの南側を通りなさい」
ということを、直接的に伝える灯標や浮標があるタイプのものもあります。
3000基ある灯台の中から自分好みの灯台を見つけるコツ
灯台に興味を持った、あるいは灯台を見に行きたい!と思ったら、
どこからスタートすればいいのでしょうか?
まず、日本には3000基を超える灯台が立っています。
そのうち、正月も含め年間を通じて登れる灯台は16基。
※夜は灯台に登ることができないので、注意
灯台に行くと、寄付金を300円ほど払って中に入ることができます。
美術館や博物館などの入館料、といったイメージでしょうか。
灯台気登ると灯台の中も見れますし、展示室も設けられています。
展示室では灯台の歴史や役割を学ぶこともできるので、
灯台の魅力を知るにはまずそこに行くことをオススメします。
ただそこに昼間行っただけではなく、夜の姿を眺めてほしい。
不動まゆうさんは、そういいます。
夜の灯台というのはまさに、光が際立つ瞬間。
灯台が働いているのは夜なので、ぜひ灯台の光が水平線を走っていく
“働く灯台”のロマンのある光景を見ていただきたいなと思います。
自分好みの灯台を見つける4つのポイント
ここまで、3000基ある灯台の中から
実際に登ることができる16基に絞ってお話してきました。
そこから自分好みの灯台を見つけるときのポイントは、何なのでしょうか?
まず、自分好みの灯台を見つけるポイントとして4つの要素があります。
それは、
- レンズの有無
- 歴史的な灯台かどうかというストーリー性
- 背の高さなどの素材
- 立地
です。
立地に関して言えば、灯台は立っている場所が過酷な場所もあれば、
犬吠埼灯台のように周りが観光地になっているようなところもあります。
中には、船をチャーターしないと向かえないようなところも。
定期線がなく漁師の方に頼み込んで、
「これだけお金払うから連れて行ってください」
と言って連れて行ってもらうところもあったりするので、
立地はかなり重要です。
今挙げた4つのポイント。
- レンズの有無
- ストーリー性
- 素材
- 立地
これらの中で、不動まゆうさんが一番重要視しているものはどれなのでしょうか?
それは…
レンズです。
不動まゆうさんが語る、灯台のレンズの魅力とは一体何なのでしょうか?
灯台のレンズは”命” 光を遠くまで届ける重大な役目
灯台は光を発するもので、その光を遠くまで届けているのがレンズの役割です。
つまり、灯台の”命”といえるもの。
レンズというと、
「えっ、灯台のレンズってどんな形だったっけな?」
と、思うかもしれません。
灯台のレンズは大きなものだと、
高さが3メートル弱もあるとても大きなものなんです。
巨大ですよね!
自分の身長を遥かに越えるような、そんなレンズなんです。
灯台に使われているのは、フレネルレンズ。
これは今から200年前に、フランス人の物理学者がつくった灯台のための薄いレンズです。
表面のプリズムを再構築して、同心円状にギザギザをつけてレンズを薄くしています。
「プリズムって何?」
と思った方もいらっしゃると思うので、簡単に補足しますと…
プリズムは、舞台の照明やカメラのフラッシュにもついている
表面がギザギザしてるレンズです。
宝石のカッティングのような感じに見えるレンズを作ることで、
薄く軽いものができるようになりました。
まさに機能美といえるのですが、それが内側から電球によって光を放つと
本当に巨大な宝石のように見えるんです。
そこから彗星の尾のような閃光が、約50キロも遠くまで光が届きます。
日本で一番遠くまで、光が届くということなんですね。
不動まゆうんさん曰く、
「その光が水平線をさーっと走っていく姿は、宝石のキラメキと宇宙の壮大なロマンが
重なったような、膝がガクガクするような美しさ」
なのだそうです。
「その熱量で、私の膝もガクガクしてます笑」
と、ホラン千秋さん。
レンズのどんなところに魅力を感じるのか、
その”キュンポイント”について不動まゆうさんはこう話しています。
「私に最初に語りかけてくれた灯台の光はここからでてるんだなって感じますし。
また、点灯する時間がいいんですよ。」
点灯する時間がいい、とは一体どういうことなのでしょうか?
エメラルドからダイヤモンドへ 灯台を照らすメタルハライド電球
かつては灯台守(もり)という人たちがいて、
日没時間に灯台に炎を使って点灯していました。
今は自動で点灯しています。
自動でどうやって点灯するのかというと、
光の明るさを感知して点灯します。
灯台に使われているのは、メタルハライド電球です。
少し前まで白熱電球を使っていたのですが、
現在はメタルハライド電球を使っています。
メタルハライド電球は、
スイッチが入ってもパッとは明るくはならないんです。
昔の体育館の水銀灯のようなイメージで徐々に明るくなります。
灯台は海に向かって立っているのですが、
灯台が点灯し始めるのは夕日が沈む頃。
最初はまだ仄暗く、ライトの色は緑色に見えます。
それが、メタルハライド電球の特徴。
メタルハライド電球が緑色の光を放ち始めると、
宝石のエメラルドみたいに見えるようになります。
それを、不動まゆうさんは”エメラルドタイム”と呼んでいます。
”エメラルドタイム”は、日が落ちて空がほんのり桃色になった頃。
ジワーっと明るくなる緑色は、まるで宝石のエメラルドのようです。
しばらくその電球の色を見ているとだんだんと光が強くなり、
次第に白くなって真っ白になっていきます。
そうすると、今度はダイヤモンドの色に。
エメラルドからダイヤモンドに変わっていくんです!
どんどん暗くなると灯台の光しか見えなくなり、光の帯がくっきり
浮かびあがります。
そのときの空の感じも素敵な光景です。
夕日から楽しんで、灯台にバトンタッチという感じですね。
”見たら終わり”じゃない!灯台が見せるいくつもの”顔”
それを見て楽しむのか、写真に収めて楽しむのか。
みなさんは、どちらがいいと思いますか?
不動まゆうさんは写真に収めたいという気持ちがある反面、目にも焼き付けたい。
そのため、カメラのファインダーを覗いて写真を撮りながら、肉眼で観察したりと大忙しです。
しかも、天気や季節によっても景色って違いますよね。
例えば、”この灯台コンプリートしたな”と思っても、
「あっ、ちょっと待って。向こうの空の感じ、冬も見たい」
「雨でも見たい」
と思うことって、あると思うんです。
そうなったら、いくつスタンプを押しても足りない。
なかなか、コンプリートできないんですよね。
不動まゆうさんも、そんな考えをお持ちの1人です。
何回行ってもいい、と不動まゆうさん。
季節や天気によって、違う顔を見せてくれる灯台。
雨の日でも、十分に魅力があります。
晴れの日には見られなかった、雨が光に映っていく様子も見ることができますし
北部の方だと雨ではなく雪になりますから、雪とのコラボレーションも楽しめますし。
いろいろな感情をもっていますよね。
そして、海上保安庁の人が、灯台の保護のために”お色直し”を時々行っています。
胴体、つまり外側を塗り替えるわけですね。
「新しくきれいになった姿を見たいし…」と考えると、
永遠にコンプリートできない気がしませんか?
一生かけて毎日楽しめる。
それが、灯台の魅力でもあります。
全部見たらもう終わり、ではなく灯台のいろいろな顔を
さがしてみるのもいいかもしれませんね。
現役の灯台4基が重要文化財に認定!
ちなみに、最近不動まゆうさんが見た中で最もよかったのはどの灯台なのでしょうか?
最近はステイホー厶で灯台に行けていないという不動まゆうさんですが…
とても嬉しいニュースがあったといいます。
それは、4基の現役の灯台が国の重要文化財に認定されたということ。
その4基というのが、
- 犬吠埼灯台
- 角島(つのしま)灯台
- 六連島(むつれしま)灯台
- 舳先(へさき)灯台
です。
その中で、東京からも日帰りでも行けるのが犬吠埼灯台。
この灯台に、足しげく通っている不動まゆうさんですが、
重要文化財になってからは行けていません。
「灯台に、”おめでとうだい!”と言いたいなと思って。」
と、不動まゆうさん。
「おあとがよろしいようで…笑」
と、ホラン千秋さん。
人は失恋すると動かない、確かなものを求めるようになるんですね…。
共感した方も、もしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか?
なんといっても、灯台は必ずそこにいてくれ受け止めてくれますからね。
灯台の魅力ポイント4つ、みなさん覚えていますか?
- レンズがあるかどうか
- ストーリー性
- 何でできているかという素材
- 立地
この4つのどれに”キュン”としてもいいし、全部に”キュン”としてもいい。
それぞれに違った趣きがあるなと思いました。
その場所に行けなかったとしても、がっかりすることはありませんよ!
不動まゆうさんが今年1月に出したばかりの「愛しの灯台100」という本で、
十分灯台を堪能できます。
今回お伝え出来なかった灯台の写真がたくさん掲載されています。
レンズや立地、ストーリーについても存分にかかれていますので、
これをみて”キュン”とする自分の灯台を見つけるのもいいかもしれないですね。
次回もよりディープな灯台の魅力をお伝えしていきますので、お楽しみに!
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