みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は先週に引き続き、全国の醤油の販売を行う「職人醤油」を運営している
高橋万太郎さんに醤油のディープな世界に迫っていきます。
前回は、醤油にいろいろな個性があるということをお伝えしました。
今回は高橋万太郎さんが持参した6本の醤油の味比べをしながら、
醤油の奥深い魅力に迫っていきます。
どうぞ、最後までお付き合いください!
Contents
ホラン千秋が”個性あふれる”醤油を食べ比べ!
前回はできなかった醤油の味の違いを比べる食べ比べ。
ホラン千秋さんはこの味比べを、とても楽しみにしていたようです。
前回のおさらいになりますが…
醤油を濃い順に並べると
溜醤油→再仕込醤油→濃口醤油→甘口醤油→うすくち醤油→白醤油
となります。
この6つの醤油の味を、早速ホラン千秋さんが食べ比べることに。
それぞれの醤油は、一体どのような味がするのでしょうか?
昔ながらの製法でつくる秋田県石孫本店の濃口醬油
「甘口は1番最後で、濃口からがいいと思います。」
との高橋万太郎さんの言葉を聞いて、ホラン千秋さんは
まずいつも使っている濃口醤油から頂くことに。
「いつものやつっていってもね。みなさん、あれですよ。特別なものなんですから。」
と前置きした上で、まず濃口醤油の香りを楽しんだホラン千秋さん。
今回ホラン千秋さんが頂いたのは秋田県の石孫本店で
つくられている「百寿」という醤油です。
この石孫本店という蔵元は、
昔ながらのつくりが半端ないところなのだそう。
今と何が違うのかというと、使っている道具が違うんです。
博物館に、”昔の醤油はこういうふうにつくってました”という展示があったりしますよね?
そこに展示されているような道具が、
今も現役で使われています。
そして、小麦を石炭で未だに煎っています。
普通はガスバーナーなどで熱風をかけて処理することが多いのですが、
石孫本店では昔ながらのレンガ積みの機械で、小麦を煎っています。
熱源は、先程も述べたように石炭です。
「今時、石炭どこで買うんだみたいな話だと思うんですけど。」
と、高橋万太郎さん。
百寿を召し上がったホラン千秋さんからは、
「あっ!フワッ、って口の中に広がりますね、香りが!おいしい!」
という言葉が。
塩分高めなのに”あっさり” 兵庫県龍野市の末廣醤油の淡口醤油
次に召し上がったのは、兵庫県龍野市の末廣醤油という蔵元がつくっている
「うすむらさき」といううすくち醤油。
見た目は、濃口醤油と比べてとても薄い色です。
例えるなら、みたらしだんごのタレのような色ですね。
香りは少し柔らかく、軽やかな感じ。
しょっぱさの方で言うと、濃口醤油よりも強くなります。
ホラン千秋さんも、
「切れ味がいい感じ。…あっ、全然違う!!さっきよりは、あっさりしてる。」
と、驚いていたご様子。
うすくち醤油はあっさりしていて、旨味も若干抑えめなので醤油としての主張は弱め。
ですが、塩分はちょっと高めになります。
バニラアイスにかけると美味しい、再仕込醤油
続いて、再仕込醤油。
再仕込醤油の味についてご紹介する前に、
少しだけ再仕込醤油の作り方についてご説明します。
再仕込醤油は、あまり聞き馴染みがない方もいらっしゃると思います。
「再仕込ってそもそも何?」
と思いますよね?
再仕込というのは、再び仕込むという漢字の通り再び仕込むという意味です。
醤油の作り方は、大豆、小麦を麹にしてそこに塩水を入れて熟成・発酵させます。
ここまでは他の醤油と同じなのですが、そのあとの工程が違います。
1度できた濃口醤油を瓶詰めにして商品にするのではなく、
もう1回仕込み水代わりに桶の中に戻してしまうんです。
要するに、2回仕込むということになります。
つまり、つくる期間も原料も2倍。
手間暇がかかっているということなんです。
少し話が逸れましたが…
再仕込醤油は、濃口醤油と比べるとトロッとしています。
そして、甘みがでてくる。
しょっぱさを感じると同時に甘みも感じることができます。
「バニラのアイスにかけたら美味しいですよ」
と、高橋万太郎さん。
再仕込醤油の味を、”しっかりと時間がゆっくり流れてる感じ”とホラン千秋さんは表現。
ホラン千秋さんは、再仕込醤油の味をこう話します。
「働き盛りの40代くらいだと、だんだん貫禄が出てきてる50代みたいな感じ。
吸いも甘いも経験してきて、若手が相談しに来たら
“大丈夫、大丈夫。そういうことあった、俺も”みたいな懐の深さが見えてきますね、再仕込醤油。笑」
焼き餅にオススメ!旨味がダントツに高い、濃厚な溜醤油
続いて、1番濃厚な溜醤油。
今までの濃口醤油、淡口醤油、再仕込醤油は原材料が大豆、小麦を使っていますが
溜醤油は小麦を使っていません。
そのため、溜醤油に使われているのは大豆と塩だけ。
大豆はざっくり言うと旨味のもとで、小麦はざっくり言うと香りのもととなります。
若干香りは犠牲にしても、旨味はダントツに高い。
そう、高橋万太郎さんはいいます。
「本当だ!香りは、地に足がついてる感じ。再仕込とも全然違う。どっしりしてる。」
と、ホラン千秋さん。
高橋万太郎さんのオススメは、焼き餅。
焼き餅にすると、とても美味しいのだそうです。
「塩気がガツンと、ほのかに甘み」出汁を活かす白醤油
次が、白醤油です。
透明に近い白醤油はとてもきれいな色で香りは華やか、かつ軽やか。
人間で例えると、人生がスタートしたばかりの10代といったところですね。
白醤油を口にしたホラン千秋さん。あまりの驚きで、
「ああっ、びっくりした!!すごい!塩味がガツンとくる!びっくりした!!
こんな切り込み方で塩気が来るんだ!って感じ。」
との声が。
塩気がガツンと来る中でも、ほのかに甘みか残ります。
特に白醤油は出汁をひいたときに合わせると、ものすごく出汁を活かしてくれますよ。
これだけでも出汁になっちゃうんじゃないか、と思ってしまうほどです。
香りはチョコレート?鹿児島の甘口醤油は甘味料たっぷり
最後に、堪能するのは鹿児島県の蔵元で作られている甘口醤油です。
ちょっとトロッとしていて、香りはチョコレートみたいな感じ。
ホラン千秋さん、甘口醤油のあまりの甘さに、
「えっ!すごい、ちょっとまって!!びっくりした!!
ヘッドホンがとれそうになっちゃった!甘い!!えっ…?」
と、思わずセットしていたヘッドホンが取れてしまいそうに…。
鹿児島だと、この甘さが普通なのだとか。
なぜ、そこまで甘みが出ているのか?
それは、甘味料を入れているからなんです。
「あっ、ホントだ!色々入ってる。」
と、ホラン千秋さん。
色々と入っているのが、甘口の特徴です。醤油とはまた別物と感じるほどの甘さ。
ホラン千秋さんが召し上がったこの醤油は、刺し身醤油。
お刺身にとても合うそうです。
特に九州の南の方だと、家庭に3本は醤油があるケースが多いんです。
甘口、濃口、刺し身醤油、
甘口、淡口、刺し身醤油といったように。
刺し身醤油は特に、甘さが強いです。
これはお醤油とは別のジャンルで1本ほしくなりますね、とホラン千秋さん。
醤油は醤油でも、関東の人からすると概念が全然違うので
初めて召し上がったら驚かれるかもしれません。
和食って、砂糖とみりんとお醤油を混ぜて使いますよね。
それを濃く煮詰めたような味が、甘口醤油。
そのため、”これだけで煮物いける”という方は多いとのこと。
「美味しい!これは、おいしい!2回言ったけど。」
と、ホラン千秋さん。
甘口を試してみるのも、アリかもしれません。
香川県の小豆島のヤマロクと吉村醸造にみる、作り手の人柄
高橋万太郎さんは、今まで400の蔵元を巡られています。
その中で面白いなと思った蔵元はたくさんあるのですが、
今回はその中の2つの蔵元をご紹介します。
高橋万太郎さんは、醤油には作っている人の人柄が意外に
醤油の味に影響を与えているといいます。
それがよくわかる蔵元が、これからご紹介する2つの蔵元。
どちらも香川県の小豆島にあります。
ここは、醤油屋さんがたくさんある地域なんです。
ちなみにホラン千秋さんは、オリーブの街だと思って
オリーブオイルしかお土産で買ったことがなかったようです。
ですが、小豆島はオリーブオイルだけではなく醤油もすごいんです!
醤油蔵が20軒ぐらい密集していて、歩いて回ることができます。
原料も使う機会も一緒なのに、なぜか味が正反対?
まず1つ目の蔵元が、ヤマロクという醤油屋さん。
そのすぐ近くに吉村醸造という蔵元があります。
これが、2つ目の蔵元です。
両者に話を聞くと、原材料はほぼ一緒。
醤油を作る工程の麹をつくる機械を、2社が共同利用しています。
原料がほぼ同じで、麹も同じ機械でつくっている。
違いといっても、それがヤマロクの木桶に入るか吉村醸造の木桶に入るかの違いしかありません。
それなのに、醤油の個性が正反対!
途中までは一緒なのに、全く違うんです。
ヤマロクは、お正月を含めていつ行っても見学が自由にできます。
しかも、蔵の中まで入れてくれるんです。
日本で1番外部の人、つまり見学者が入ってくる蔵だといわれています。
「間近まで入れて見せてくれて…ってなると、いろんな微生物が
入りまくってるのがヤマロクの蔵なんです。」
と、高橋万太郎さん。
「聞こえはちょっとね、あれですけど。笑
でも、そういうもんですよね。生き物だから…
いろんな人の微生物を受け入れてると味も変わってくるという。」
と、ホラン千秋さん。
微生物の立場からすると、人間のために醤油をつくってくれてる感覚はもちろんありません。
自分たちの仲間をどれだけ増やすかを考えて、微生物は繁殖しているからです。
いろいろな微生物が入ってくる中で、しっかりと生き残っている
微生物は自己主張がしっかりしています。
そのため、ヤマロクの醤油は自己主張がすごく強い。
一方でもう一つの吉村醸造の醤油は、職人さんが全部の環境を徹底的に
常にきれいに綺麗に保っています。
昔ながらの伝統的な木桶がズラッと並んでいて、醤油も賞味期限によって
どの原材料を使っているのか全部ホームページで公開してくるくらい、徹底して管理しています。
しかし、メディアの取材が来ても
「ウチ、恥ずかしくて見せられない」
と断るぐらい、徹底しているんです。
超几帳面な職人さんなので、いつ行っても作業着もきれい。
いつもきれいな作業着を着ているといいます。
そういう方がつくる醤油なので、素材をとても活かしてくれます。
料理好きな方は特に、このヤマロクと吉村醸造の醤油を愛用しているとか。
ここで、ホラン千秋さんからこんな質問が。
「やっぱり生き物だし、微生物とかって聞くと…あんまり近づかないでください、とかやたらめったらあげたくないです、というふうな気持ちを抱いてもおかしくないと思うんですけど。
そういう方々ばっかりではないんですね?」
蔵元によってもそれぞれ違いますが、
最近は“どうぞ見に来てください”という作り手が増えてきました。
逆に言うと、いつ見られてもいいように中をきちんと管理をしているということです。
それでは、この先「醤油の蔵元を見てみたい!」と思ったら
どうすればいいのでしょうか?
まず、「見学を予約しなくても見せていただくことって可能ですか?」と
お声がけしてみるといいと思います。
その中で、見せる、見せないはそれぞれあると思うのですが、
“見てください”という蔵元さんが意外に多いのではないか、と高橋万太郎さんは話します。
醤油業界に大きく立ちはだかる”自己主張”のハードル
これからの醤油業界の課題。
それは、もっと醤油メーカーが自己主張しないといけないということです。
もっともっと、”醤油には個性があって違いがあって、自分たちは
こんな面白いのをつくっている”ということをもっとPRしていかなきゃいけない。
そう、高橋万太郎さんは考えています。
そんな高橋万太郎さんが今考えているのは、醤油皿をつくること。
焼肉屋に行くと、3つのタレがありますよね?
その醤油バージョンをつくりたいと考えているんです。
例えば、飲食店で刺身を頼むときに3種類の醤油が自動的に出てくるようなもの。
それをつくろうということなんですね。
ただ、自分だけで一生懸命やってもなかなか限られてくる。
そこで全国の醤油メーカーと仲間になり、みんなでこの醤油皿で3種類の醤油を
使い分けるようにしましょうということをみんなで広げようということを言っていたら、
大手メーカーの方も、
「ちょっと、それいいね」
と賛同してくださったんです。
そんな経緯もあって、醤油業界が横に手をつないで
新たなスタンダードをみんなでつくっていく。
そんな活動が始まりつつあります。
そうすると、
「もっと自分の蔵元、個性を出さなきゃ!」
とみんなが思い始めて、色々なアクションを起こしますよね。
最近のクラフトビールでもそうです。
クラフトビールが流行っているのは、それぞれの個性が際立ってるからですよね。
その個性こそが、面白い。
なので醤油も、もっともっと個性をつくっていく。
それが今、醤油業界には必要なことだと高橋万太郎さんは話します。
ちょっと今までと違ったお醤油試してみようかなと思うとき、
醤油を選ぶポイントはあるのでしょうか?
パッケージからは、なかなか醤油の個性はわかりにくいですよね。
裏の表示を見ても、原料はかなり似ていますし。
書いていい文言にも色々なルールがあるので、
なかなか自己主張ができないんです。
自分にあった醤油を見つける方法としては、
観光旅行に行ったときなどに醤油屋があったら寄ってみること。
そこで、醤油をお土産で買って試してみるといいと思います。
そうすると誰がつくったのか、どんなところでつくったかがわかりますよね。
それがわかると、醤油を使うときの使い方が変わるはずです。
そういうのを少しずつ増やしていくと、
自分のお気に入りの醤油と出会えるかもしれません。
日本全国いろんなところに蔵元があるので、
「自分の身近な地域でつくっている醤油はないかな?」
と調べてみて地域の味を知るのは、とても楽しい作業だと思います。
実は、地元に醤油屋があるということを知らない人が意外に多いんです。
全国では、1200くらいの醤油メーカーがあります。
必ず地元に醤油屋があると思うので、ぜひ足を運んでほしいですね。
「自分の土地の味ってこういうものなんだ」
というのを探しに行って選んでみるのもいいかもしれませんね。
みなさんもぜひ様々な醤油を試して、お気に入りを探していただきたいなと思います。
高橋万太郎さんの話を聞いて、
醤油の幅を広げてみようと決意を新たにしたホラン千秋さん。
今回の醤油の味比べで、”こんなに味が違うんだ”ということを知ることができたようです。
味比べをした中でも、ホラン千秋さんのお気に入りは甘口。
お刺身醤油です。
純粋な醤油だけではなく、甘みも入っている甘口醤油。
ホラン千秋さんは、甘口醤油を人間に例えてこう表現します。
「だんだん仕事にもなれてきて余裕も出てきて、遊ぶっていう心とお金の余裕もある30代。
そういう感じが出てる、お刺身醤油。」
食べ比べてみると味の違いや個性が如実にわかるので、
料理の幅もより広がります。
ホラン千秋さんも、実際に料理の際に使ってみることに。
ホラン千秋さんオススメの甘口醤油もみなさんぜひ、試してみてくださいね。
今回の内容は、DDプレスホームページにも詳しく載っていますので
ぜひ、そちらもチェックしてみてください!