「日本人は忘れがち」吉村喜彦が炭酸ボーイで伝えたい”考える力”

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みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪

 

作家の吉村喜彦さんの新刊「炭酸ボーイ」が絶賛発売中!
「炭酸ボーイ」に込められた様々な思いをストーリーとともに話してくださいました。

 

どうぞ最後までお付き合いください!

 

 










Contents

サントリー時代で培ったスキルが活きる小説

 

 

数々のフィクションやノンフィクションを書かれてきた吉村さんの経歴を
ここで少しご紹介します。

吉村さんは、1979年にサントリー株式会社に入社し約20年間勤務。
その間に、数々のキャンペーンやテレビCMも手がけられました。

1997年に独立し、作家としてキャリアをスタート。

それまでのサントリー時代の経験が活かされた
「バー・リバーサイド」などの小説やエッセイを書かれています。

なぜ、お酒に関するものが多いのか。

その理由は、しずる感にありました。

言葉以外の皮膚感覚のようなところがあり、
特にお酒のことについて書くときはそれがとても活かせる
のだとか。

それが、文章を書くときに一番好きなところだと吉村さんはいいます。

 

広告マンのさがですね。

 

作家が一番やってはいけないことは、
美味しい食べ物を美味しいと言ってしまう
こと。

それでは、だめなんです。

いかに美味しいという言葉を使わずに、
美味しいということを表現するか

それが、勝負どころというわけです。

 

 



作家になろうと思ったきっかけは?

 

 

吉村さんはそれをサントリー株式会社でもやってきましたし、
ご自身の作品の中でもやられていました。

そんな吉村さんが作家になろうと思ったきっかけは、
何だったのでしょうか?

吉村さんは最初から作家になろうと思っていたわけではなく、
子供の頃は絵をかくのが好きで、漫画家になりたいと思っていたそうです。

目標としていたのは、手塚治虫さんや横山ミステリさん、石ノ森章太郎さんなど。

ところが、高校時代に太宰治などの文学作品に心酔するように。

だんだんと堀辰雄さんや立原道造さん、福永武彦さんなど、
いわゆる「しき派」と呼ばれる人たちに傾倒。

それが、吉村さんが作家を目指す原点になりました。

しかし、この時点では自分が作家になるとは夢にも思ってもいなかったそうです。

吉村さんがサントリー株式会社に入社してから出会ったのが、開高健さん。

 

開高健さんとの出会いによって、

 

「そういう世界に行きたいな」

 

と思うようになったのだそう。

 

そして、1980年代の半ばには中上健次さんと新井真央さんと出会います。

二人と話していて、とても楽しかったという吉村さん。

この二人に出会ったことで、
吉村さんは背中を押され作家を目指すことになります。

 

 

 

「炭酸ボーイ」の題材はお酒ではなく炭酸水

 

 

お酒にまつわる物語をたくさん書かれている吉村さんの新作は、なんと…

 

炭酸です

 

「炭酸ボーイ」という新刊が先々月に発売になっています。

 

ビアボーイ、ウイスキーボーイに続き、今回は炭酸ボーイです

お酒から、炭酸へ。

なぜ、題材をお酒ではなく炭酸にされたのでしょうか?

その理由は、吉村さんが以前から炭酸水が
大好き
であることに深く関係しています。

仕事中も炭酸を飲んでいて、
サントリー時代から炭酸水やソーダが好きだったのだそう。

バーボンのソーダ割りというキャンペーンにかなり力を入れていたところ…

それが、大ヒット!

 

そのこともあってか、水割りよりも炭酸割りがかっこいいと思うように。
と同時に、それが世の中にウケるんだ!と驚いたといいます。

それから、ハイボールのブームが来ていますよね。

普通に炭酸水を飲む人が増えているという感覚を、吉村さんは持っています。

ビアボーイ、ウイスキーボーイときて、
ボーイシリーズのものを書いていきたい。

ですが、ビアボーイ、ウイスキーボーイってお酒ですよね?

ということは、お酒を飲める人は読めるけど
飲めない人は読んでくれないということに気づきます。

アルコールが飲めない人にも読んでもらいたい

そんな思いが、「炭酸ボーイ」には込められています。

老若男女読んでほしい、とのこと。
今回、読者層が更に広がるかもしれませんね。

 

 



「炭酸ボーイ」の舞台は宮古島

 

 

「炭酸ボーイ」の舞台は、宮古島。
宮古島で湧き出した天然炭酸水をめぐる物語です。

「炭酸ボーイ」の舞台を宮古島に選んだのは、
吉村さんと縁の深い場所だったからなんです。

吉村さんは、1993年から沖縄の魅力にハマってはや30年。
年に5、6回も沖縄に足を運ぶこともあった
そうです。

まず最初にハマったのが、沖縄の古謝美佐子さんがされていたネーネーズ。

吉村さんは実際に会いに行きました。

会いに行きつつ、取材もさせていただいたようなんです。

当時はまだサントリーに在籍していたので、
アルバイトとして記事を書いていました。

それから、沖縄の魅力にどっぷりとハマっていった吉村さん。
それを契機に書くことにもハマっていき、沖縄にも通うように。

沖縄に通うようになると、島々のそれぞれの独特の文化がありますよね。

沖縄に通うことで、次第に文化の原点がわかるようになっていったそうです。

当然、島ですから小さな集落、エリアごとにそれぞれ言葉も違います。
それこそが、吉村さんが求めているところだったんですね。

特に宮古島は、風が吹き渡っていて光がすごく強い。
”それが大好きだと思った”と吉村さんはいいます。

地元の方々とも、独特の習慣を通じて親しくなったという、吉村さん。
そのことについて、吉村さんはこう話しています。

 

「独特の習慣がありましてね、オトーリっていって。

例えば4人で集まったら、4人で、一人は親と決めて親が何かスピーチをして、
皆さんの健康を祈りますと言いながらお酒をお銚子みたいなもので
ドボドボと注いで、それを回すんですよ。

一周回して飲みあげて、それを何回も何回もぐるぐる回すんですよ。

オトーリを回すっていうんですけれども。

それをやると、仲良くなるんですよ、みんな。酔っ払って。」

 

 

魅力的な方々と出会って、かっこいいなと思ったら素直に
そこに関してリサーチをして、どんどん知り合っていく

かっこいい人たちに導かれてきたような生き方をされているのが、吉村さんなんです。

素直でやっていれば、自然と素直の笹舟に乗って川を下ってるみたいな感じで
いけるんじゃないか。

そう、吉村さんは話します。

 

 



作家は、書きやすいようにキャラ設定をする

 

 

 

物語の主人公は元コピーライターで、現在は宮古島で編集ライターをしています。

主人公の設定は、吉村さんのサントリー時代の職業に近い設定になっています。

どうやら作家というのは、どうしても書きやすいように設定してしまうようです。
よく知っていると書きやすい、ということなんです。

その理由を、吉村さんは氷山に例えてお話してくださいました。

 

「氷山と同じで、よく知ってると海面下、水面下が10分の9言わなくて住むんですよ。
10分の1言うだけで、”あ、こいつ知ってる”ってわかるじゃないですか。
他の人の作品や文章を読んでると、”この人よくわかって書いてるな”ってすぐわかる。」

 

 

物語の主人公は、広告ライター、コピーライター、編集ライターを経験。
さらに、記事を書く仕事もしています。

この、記事を書くというのは吉村さんがフリーになって一番最初にやった仕事。
雑誌の旅の記事やお酒の記事も書いていたそうです。

そんな経験もあるので、その仕事のことがよくわかる。

そのため、主人公にたっぷりと思いを詰め込むことができるというわけですね。

吉村さんが抱いていた、
その時の葛藤も反映されています。

小説の中には、お酒を飲んだら人格が変わってしまうというキャラクターも。

実はそのキャラクター、
吉村さん自身を投影しているところもあるようです。

小説の中では女性にもなれると語る、吉村さん。

「炭酸ボーイ」には、コリアンとチナンジュとアメリカ人の血が混ざった
天才コピーライター、リカというキャラクターがいます。

実はこのリカ、吉村さんの奥さんをモデルにしているんです!

小説の中では、自分の癖のようなものも混ぜ込みながら書いています。
特に、悪役を書くとき。

自分のちょっと嫌な部分を出して、
作者として書き換えてよりよい物語をつくっているといいます。

 

 

コロナ禍で吉村喜彦が懸念する”論理的に考えない”日本人

 

 

 

今回、「炭酸ボーイ」を書き上げて吉村さんが思っていることがあります。

それは、立ち入ってはいけないところに入ってしまったがゆえに
大変なごとに巻き込まれていく
ということ。

「炭酸ボーイ」の後半は、コロナ禍になってからかきあげたもの。
実は、コロナ禍による変化が描かれていたりもします

コロナウイルスは、コウモリからという話がありますよね?
では、なぜコウモリを介して人間に感染したのか。

それは紛れもなく、人間が本来立ち入ってはいけない場所に踏み込んでしまったからなんです。

コウモリのいる場所って、
本来は入ってはいけないところですよね。

そこに人間が入ることによって、
いろいろなものが巻き起こっていく。

これが、コロナです。

今回の小説では神様のエリアに入ってしまい、そこにリゾートホテルを
つくってしまうことでいろいろなことが巻き起こっていきます。

そして、一番神に近い役割をしている集落の女性が
実はエビデンスやなぜなのか、その理由を一番求める、よくわかっている人。

それが今回の小説の決め手となっています。

雰囲気や空気感で、苛立ちを強く感じたり
”おかしいぞ”と思うことって、よくあると思うんです。

論理的に考えていくのが基本だと思うのですが、
今の日本人はそれを忘れがちになっている

そう、吉村さんは懸念しています。

 

「なんか知らないけど、みんながそう思うからいいのかな」

 

 

という風潮になっているような気もします。

 

でも、そうやって流されたままでいいのかというと全く違うと思います。
大切なのは、個人としてどう考えているかということ。

 

それを忘れてしまうと、みんながこの変な空気に流されていってしまいます。

 

実はこれ、第二次世界大戦のときにもそういう状態だったんです……。

 

 

流されてばかりではなく、学んで次に行かないといけない

 

そういう思いが、「炭酸ボーイ」には込められています。

 

 

私たち一人ひとりがしっかりと考えて行動しなければならない
そんな時代に突入したのだと思います。

 

ここで、「炭酸ボーイ」にもチラッと出てくる曲をご紹介したいと思います。
Bob Markley & The Wailersで「One Love」です。

 

ぜひ、みなさんも聴いてみてください。

 

 

 

 



坂本美雨にキャッチコピーをつけるとしたら?

 

 

 

 

ここからは、「拝啓、なじみたち」。
ゲストの方のプライベートな部分を覗きたいなというコーナーです。

 

吉村さんへの質問はこちら!

 

坂本美雨にキャッチコピーをつけるとしたら?

 

さて、吉村さんは坂本美雨さんにどのようなキャッチコピーをつけるのでしょうか?

 

吉村さん、少しばかり考え込んでいらっしゃいました。
初対面で、いきなりこの無茶振りな質問ですからね…。

 

ちなみに、このコーナーでゲストの方に引いていただく箱の中の紙に書かれた
質問はスタッフの方が考えています。

 

吉村さんが考えている間、スタッフの方がそーっとドアを開けて
坂本美雨さんのプロフィールを置いていきました。

 

考えている間に、坂本美雨さんからこんな質問が。

 

「何かのキャッチコピーをつけるときは、まず何をされるんですか?」

 

まず吉村さんがキャッチコピーをつくるときに行うのが、
全体像やワンポイントのような特徴を掴むことです。

 

「初対面で、しかもまだ10分くらいしかお話してないんですが…。
この時代なのでマスク姿なんですが、なにか伝わるものがあるのでしょうか?」

と、坂本美雨さん苦笑い。

 

そんな坂本美雨さんに、吉村さんは瞳が印象的だと話します。
アイコンタクトで伝わるものはあるのだそう。

坂本美雨さんのお名前、美しい雨。
吉村さんは、この”美しい雨”という言葉にすごく惹かれるといいます。

日本は、雨の言葉が多いですよね。

北海道は基本的には梅雨はありませんが、
関東などはこれから梅雨の季節にも入ってきますし。

 

さて、そろそろ吉村さんが坂本美雨さんにつけたキャッチコピーを発表します!

 

 

それは…

 

 

 

”優しき美しき雨”。

 

 

 

 

本当に、素敵なキャッチコピーですよね!
坂本美雨さんのことをそのまま表現している言葉だと思います。

ちなみに、坂本美雨さんの声が決め手になったそうですよ。

 

「そんな美しい雨というようなキャラクターではないんですけど…」

 

と、言いながらも嬉しさを滲ませた坂本美雨さん。

 

イメージと実際は違うかもしれませんけど、と吉村さん。
それが人間の面白さでもあるといいます。

 

個人的にはこのキャッチコピー、
坂本美雨さんにとても合っていると思いました。

 

 

 

 

 

 



\最後に、吉村さんからのお知らせです!/

 

吉村さんからの新刊「炭酸ボーイ」が、現在角川文庫から発売中です!
ぜひ、手にとってみてください!

 

吉村さんの最新情報は、オフィシャルサイトやSNSをチェックしてください!

 

 

次々と好奇心の湧くところにどんどん行ってしまうというところがとても面白い。
そんな、吉村さんの人柄がよくわかる放送でした。

 

ビアーボーイ、ウイスキーボーイ、炭酸ボーイ。
果たして次は、何ボーイになるのでしょうか?

 

今後の活躍が、ますます楽しみですね!

 

 

 




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