本社を北海道に移転する企業が増加 コロナ禍で見えた首都圏に頼らない地方のあり方

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みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪

今回は、世界のあこがれ〜北海道ブランド〜から。

今回のテーマは、北海道ブランドへの提言です。

去年の11月、北海道大学公共政策大学院客員教授の
小磯修二さんの著書「地方の論理」が出版されました。

今回は小磯修二さんをゲストに迎え、地方を活性化させる
ヒントが詰まったこの本の内容から、
北海道ブランドへの提言をしていただきます。

ポイントは、分散

さて、一体何が分散するのでしょうか?
みなさんも一緒に考えてみてくださいね。

 

Contents

「地方の論理」から得る、地方活性化のヒント

 

 

世界のあこがれ〜北海道ブランド〜の番組が始まったのは、2017年。

それから3年が経ちましたが、この番組が始まった
1番最初のゲストとしてお迎えしたのが小磯修二さんでした。

そんな、番組とも深い縁のある小磯修二さんですが
去年の11月に新しい本を出版されました。

そのタイトルは、「地方の論理」。

小磯修二さんは、北海道観光振興機構の会長も務めるなど
いろいろな仕事を現在もされていらっしゃいます。

小磯修二さんの活動を一言で言うと、
地方の活性化に向けて政策の研究をすること。

地方とはいってもいろいろな地方があるわけですが、
小磯修二さんは北海道を拠点に、北海道での経験を
これからの地方の活性化に活かしていくための
活動を実践的に進めてきました。

今回の「地方の論理」では、いろいろな角度から
具体例がいくつか示されています。

改めまして、この本について少しご紹介しますね。

岩波新書から去年の11月に出版されました、「地方の論理」。

地方の活性化に向けて、小磯修二さんは以前行政の実務を
行っていたのですが、20年前に大学の研究者として
地方活性化に向けての研究を長年続けてきました。

小磯修二さんが心がけてきたのは、できるだけ実践的に
実際の地域の現場で困っている地方の方と一緒に
課題を解決
していくということです。

小磯修二さんの活動を知った岩波新書の編集者から
声をかけられたことがきっかけで、岩波新書から
「地方の論理」が去年の11月に出版される運びとなりました。

これまで小磯修二さんが行ってきた活動を紹介する形で、
本にまとめた
ということなんですね。

著書には長年の活動について書かれているのですが、
新型コロナに翻弄されている今の状況に反映された内容も
多く掲載
されています。

この本を書き終えたときは、既に新型コロナウイルスが
感染拡大していました。

新型コロナウイルスの1番の問題は過密・集中であること。

これは、大都市と地方の関係を考えていく上で非常に大切な問題です。

集中・過密にならないような国づくりをこれから心がけていけば、
地方の役割はこれから非常に大きくなってくる。

そんな思いで新型コロナウイルスの感染が拡大していく中で
一部書き加え、11月に「地方の論理」が出版されました。

 

 

北海道バックアップ拠点構想とは

 

 

著書の中には、”北海道バックアップ拠点構想“について書かれています。

北海道バックアップ拠点放送は、東日本大震災後に提言されたものです。

2011年の東日本大震災が起きたときに、その教訓を受け止めた
北海道の政策は何だろうかと、小磯修二さんは考えました。

もしあれだけの巨大地震が首都圏を襲ったら、
日本は大変なことになる。

そこで、首都圏に集中しているいろいろな機能を
それぞれの地域で”バックアップ”としての機能を
持っていこうということになりました。

一言で言うと、首都圏にある全ての機能を地方に
移転
するということですね。

そうすることで、いい意味でのバランスの取れた国づくり
できますし、北海道の役割を果たしていくことができます。

それが、北海道バックアップ拠点構想です。

 

新型コロナウイルス感染症が拡大していく中で、
改めて問われたものは過密

日本は、いつの間にか東京を中心とする
大都市圏に集中
してしまいました。

その集中や過密から、いろいろな問題が噴出。

全ての機能が東京に集中しているため、みんなが過密な状態で
生活し経済活動をしていかなくてはならない
という
状況に陥っているわけです。

それを地方に分散していけば、過密は解消していきます。

首都圏に必要な機能は地方に持っていく、ということです。

今回の新型コロナ感染症拡大の時代は、好きなところで働きながら
テレワークで仕事が出来る時代になると思います。

どんどん北海道に来て働いて、オフィスも立地してもらおう。
そんな提案が、この本ではされています。

 

北海道に本社を移転する企業が増加

 

 

北海道に拠点を移す。まさにバックアップとなる拠点を
つくった会社は、いくつかあります。

その中の1つが、アクサス生命という生命保険会社です。

アクサス生命は東日本大震災後に、本社機能の半分を札幌に移転

小磯修二さんは今でも時々、アクサス生命の方々と話をすることが
あるのですが、”移転してよかった”という声を多く聞くとか。

当初は、東京に大規模な災害があった場合、本社機能が
壊滅したら困るので札幌に本社を移転
しました。

バックアップ拠点として本社を移転したということなのですが、
札幌本社で仕事をすることが快適だと感じる社員が増えてきました。

したがって、当初よりも札幌本社で働く人の数は増加しています。

ただ単に非常時に困るから移転するというだけではなく、
北海道に本社を持ってきても今の時代、企業経営はできる

バックアップ拠点としての成果が上がってきているということが、
これでよくわかりますね。

この動きを、これからの北海道の活性化にしっかり
繋げていこうという取り組みがこれから大事になってきます。

 

地方に広がる本社移転の新たな動き

 

 

今回の新型コロナ感染症拡大の中で新しい動きが出てきています

紅茶を輸入して専門に卸をする、東京本社のルピシアという
企業があるのですが、その企業の本社はニセコ町

ニセコ町という地方に、本社を移転したんですね。

渋谷の代官山にある本社が北海道の観光リゾート地である
地方部に移動した
という意味は、大変大きいです。

今はインターネットも普及していますし、
工夫をすればどこでも働くことができます。

ルピシアの場合は、本社機能のほとんどを北海道に移転

こういう動きが出てくると、これまで東京に全ての機能を
持たなければやっていけなかったという発想が、大きく覆ります
よね。

これも、北海道の活性化につながる非常に良いチャンスにもなります。

これからそんな企業がどんどん増えていってほしいですし、
これからも増えていきそうな気もしますよね。

そんな北海道としての役割をしっかり北海道ブランドとして発信して、
北海道の経済活性化に結び付けていく

そういう取り組みは、これから力を入れて
進めていくべきだと思います。

 

”コモンズ”で広がる共同利用

 

 

人口の減少や高齢化がますます進む現代だからこそ、
これからは多様な価値観を認め合う社会になるべきかと思います。

そんな中、小磯修二さんの著書では
コモンズ“というものに触れています。

私たちは、人口減少という大半厳しい時代を
生き抜いていかなければなりません。

そのときの地域政策のあり方として1つ大きな問題となるのが、
街づくりのフィールドとなる土地の使い方です。

土地という空間は日本の場合、独占的に使われています

共同で利用したり、一緒にそこで何かを展開していこうと
いうことがそもそも難しい
んです。

土地の独占的な所有権が強いので、政策の中では1つ大きな
課題になってきます。

それでは、1つの土地、空間をみんなで共同で上手く
使っていこうという知恵、経験は全くないのかというと
そんなことはありません。

実は、日本だけでなく海外にも事例はあります。

1つ面白い事例をご紹介しますと…

この「地方の論理」でも紹介しているのですが、
北欧の地域では自分の土地であったとしても、他人がある程度
使用することを認める権利がついている
んです。

これが、日本とは全く違うところ。

フィンランドやスウェーデンに行くと、大きな別荘があります。

その別荘では、釣りをしたり散策をしたり、キャンプをしたり、
いろいろな木の実を取ったり…という、土地の共同利用が
頻繁に行われています

しかも、これらは自由にできます。

完全に”自分の土地は自分のものだけ”という独占的、排他的に
利用する状況にはなっていません

日本では、なかなか考えられませんよね。

地方に行くと、

 

「ここからは私有地なので入らないでください」

 

という看板を目にすることもありますから、日本とはまるで違います。

 

幅広い形での土地空間を使うという発想はとても大事です。

日本では、国が所有している治水場があります。
これは、洪水のときにそこに水を貯めておくところです。

その遊水池の他にも、水を貯めていないときは農業用として
使用することを認める共同利用の動きが少しずつでてきています

そうすることで、農業生産としての価経済的価値も上がりますし
いざというときは洪水も防ぐことができます。

いろいろな目的で共通で使えるという発想で、これからの
地域づくりの政策を展開していくことが大事だということを、
本の中では事例を交えて述べています。

土地を独占的に使用するのではなく、他の人が一緒に
共同で使った方が有益になるということなんですね。

土地の共同利用をしている事例は、北海道にもあります。
北海道苫小牧市にある非常に大きな工業団地がその例です。

この工業団地は、苫東という会社が所有しています。
ですが、この工業団地…1万ヘクタールもの広さがあるんです

これを、一企業が管理するのは大変。

そこで、共同利用されているのが工業団地の用地となっている
3割ほどの緑地。

この緑地に関しては、いろんな人たちがまきをとったり
散策したり、フットパスで歩いたり…といった共同利用を行っています。

本来は、会社の敷地なので入れないのですが
NPOが主体となって管理しているので、共同利用が認められています。

この取り組みは、10年も続いています。

北海道の中でも、この事例のように共同利用ができるところも
多くありそうです。

広大な大地を持つ北海道が率先して共同利用を行っていけば、
”コモンズ的共同利用”は実現できる。

小磯修二さんは、本の中でそう提案しています。

 

 

今回のポイントは、分散。

本社を東京から北海道に移転させるというバックアップ構想。
みんなで一緒にこの土地を使おうというコモンズ的論理。

バランスの取れた国づくりをするため、
首都圏に集中している機能を分散させることが、今とても
大切になってくるのではないかと改めて感じました。

そのカギとなるのが、北海道なんですね。

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回もお楽しみに…♪

 

 

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