みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
音楽プロデューサーの松尾潔さんが、
初の長編小説「永遠の仮眠」を発売されました。
小説を書くにあたって意識したことや伝えたいこと、
そして音楽に対する情熱まで…。
音楽談義をたっぷりとお届けします!
最後までお付き合いください!
Contents
松尾潔が初の長編小説「永遠の仮眠」を発売!
松尾潔さんは、日本のショービズをつくってこられた素晴らしい方です。
特に平井堅さん、CHEMISTRY、東方神起、EXILE、JUJUなど…。
才能のあるたくさんの方と巡り会えたのが
仕事が長続きした理由だと話す、松尾潔さん。
その中には、JUJUさんや坂本美雨さんと
直接親交がある人たちも。
松尾潔さんがプロデュースしているアーティストの方は、
社交的な方が多いです。
音楽プロデューサーとしてアーティストの方々と
近いところにいる、松尾潔さん。
ですが、そういった方々が見る景色と一歩後ろから見ている
松尾潔さんとの景色は違うということを日々感じています。
ショービズのいろいろなところを見ているとはいっても、
演者が見る景色とは違う。
その点が、松尾潔さんが今回の小説を書くきっかけにもなりました。
これまでエッセイなども書かれていましたが、
小説としては処女作となります。
今年の1月に53歳を迎えた松尾潔さんは、
この年で新しいことに挑戦するとは思っていなかったようです。
新しいことに挑戦したとは思えないほど洗練された文章で、
あまりの完成度の高さに坂本美雨さんも驚いていらっしゃいました。
「永遠の仮眠」はどんな物語?
松尾潔さんの初の長編小説「永遠の仮眠」は、
2月17日に発売されました。
これはまさしく、松尾潔さん自身が生きてこられた
ショービズという世界が描かれています。
この物語の主人公は、作曲やプロデュースを生業としています。
要するに、音楽プロデューサーですね。
松尾潔さんご自身を投影した部分も、小説には出てきます。
ですが、この小説はあくまでもフィクション。
そこに織り込まれたエピソードは、松尾潔さん自身が体験したものです。
この物語の内容を簡単にご紹介します。
主人公は、42歳の売れっ子プロデューサー。
人生の岐路に立っている主人公と常に高視聴率を保持している
テレビ局のドラマプロデューサー、そして主題歌に起死回生をかける
シンガーソングライターの3人が、とあるテレビドラマの主題歌を
巡って、絡み合う物語です。
この小説では、2011年の3月9日、10日、11日の
3日間がキモになっています。
2021年にこの小説を読んでいる私たちは、
2011年3月11日に何が起こるのか、既に知っている状態。
2日ほど前、つまり3月9日から物語は始まります。
小説の中には松尾潔さんの妻の実家である
仙台のことについても書かれています。
坂本美雨さんの夫も仙台ということで坂本美雨さんは、
いろいろと重ね合わせながら「永遠の仮眠」を読まれたとか。
何かしら自分の生活に共通点を見いだせるポイントを
なるべく多く、小説には散りばめたつもり。
松尾潔さんは、そう話します。
着ている服のブランドなど、固有名詞も多くでてきます。
なので、”引き込まれるポイントがみなさんにもあるのでは”と松尾潔さん。
この小説は、ショービズでの成功をかけての物語。
そして、音楽をつくることにかける情熱も描かれています。
プロデューサーの主人公は、とりつかれているかと思うほど、
とにかくつくることが好き。
松尾潔さんにも、それと似通ったところがあるそうです。
松尾潔さんはずっと音楽をつくってきたのですが、
今回小説を書いていて痛感したことがあります。
それは、一貫して物語を作ることが好きだということ。
音楽でも、物語をつくってきたつもり。
一曲一曲、物語をつくるように意識してきたと、
松尾潔さんはいいます。
歌詞やメロディー、アレンジだけでなく、曲を歌う人や
どんな声で歌うのかということ自体が物語のスタートかもしれない。
松尾潔さんは、そう考えています。
アルバムは、いわば編作短編集。
小説執筆と楽曲制作は同じ営みだということを途中で感じたといいます。
これが、初めての小説執筆でも完成度が高い理由なんです。
これまでの技術や思いの集大成が、小説「永遠の仮眠」なんですね。
小説はタワーマンションの土台
昨年の暮れにお亡くなりになった、なかにし礼さん。
みなさんも、1度はこの方の名前を聞いたことがあるかと思います。
なかにし礼さんはみなさんもご存知の通り、
作詞の世界で大きな成功を収められてた方です。
その後は、小説にもトランスファーして
最大限の成功を収められた方の一人なのですが…
そのなかにし礼さんが生前、
松尾潔さんに仰っていたことがあります。
それは、
「作詞っていうのはどんな難しいお題でもねじりはちまきして、
一晩がんばれば、えいやっ!ってやれば明日できてるんだ」
ということ。
松尾潔さんは作詞を何百回もやってきましたが、さすがに一晩で
「えいやっ!」とはできませんでした。
ただ、なかにし礼さんの仰っていることはよくわかったそうです。
音楽ではそれでも、ひらめきで3・4分のものを
構成することはできますが、小説はそうはいきません。
なぜなら、小説は構成が大事だからです。
タワーマンションを建てるには、土台がしっかりしていないと
しっかり建てられませんよね。
小説も、それと同じです。
自分が短距離走のためにつくってた筋肉を、
長距離走のためのしなやかな筋肉に肉体改造する。
それが、音楽と小説の違いというわけです。
人生は”永遠の仮眠”
松尾潔さんの初の長編小説「永遠の仮眠」。
このタイトルは一回しか出てきません。
松尾潔さんには、好きなヒップホップアーティスト、ラッパーがいます。
その方の名前は、ラズさん。
ラズさんの有名な曲の中に、こんな一節があります。
「俺は眠らない。なぜなら眠りというのは死のいとこだから。」
このフレーズは、松尾潔さんの中では
ヒップホップの名パンチラインの1つ。
この表現を自分のものにしたいとかねてから思っていた
松尾潔さんですが、音楽で使うことはありませんでした。
その表現を使う出番というのが、この小説ということだったんです。
好きな音楽を仕事にしている松尾潔さん。
松尾潔さんはこのことを、「成り行きを生業にする」と言っています。
松尾潔さんは、小説のタイトルを「永遠の仮眠」にした
理由をこのように話しています。
「夢の中でも仕事をしているような人たちって、
本当に寝ることってあるのかなっていう。
自分も含めてですけど、それは決して不幸ではないのかなと。
そういう営みを繰り返していくというのはずっと
仮眠を続けていけば、いつかお迎えがくるわけで。
そこでのことを人生というのであれば、
人生は永遠の仮眠ではないかなって。」
松尾潔さんは最初、カムバックや再生というキーワードで
書き進めていました。
しかし、それは小説を読めばわかる。
だからこそ、営みというものを定義したかったと松尾潔さんはいいます。
常に恐怖を抱えている?
熟睡することや、自分の音楽の創作への情熱が一瞬でも
途切れることへの恐怖は、松尾潔さんには常に存在しています。
ただ、恐怖というものは悪いものばかりではないと
松尾潔さんは考えています。
松尾潔さんは常に恐怖を抱えています。
「世の中に求められなくなってしまったらどうしよう」
という恐怖です。
ですが恐怖と一口にいっても、人それぞれ恐怖に対する
考え方って違いますよね?
松尾潔さんにとっての恐怖は世の中に認められなくなることでも、
人によっては孤独に対しての恐怖を思い浮かべる方も多いと思います。
恐怖は、ストレスになるとよくありません。
でも、いつも背中をいい感じに押してくれるプレッシャーと
感じることができれば、それはモチベーションになりますよね。
一見マイナスに思えることでも、違う角度から見れば
プラスの面も見えてくる。
それがとても大切なことだなと改めて感じました。
マイケルジャクソン ビリー・ジーンで気づいた興味のタネ
さて、ここで、松尾潔さんにとって大事な曲でもあり、
この小説にも出てくる曲をご紹介したいと思います。
この小説の中には、もちろんミュージシャンの名前や
曲名がたくさん出てきます。
その中でも主人公の音楽に対する初期衝動を形成した
いくつかの曲の一つに、マイケルジャクソンのビリー・ジーンがあります。
自分が弾いているのと鳴っている音が、全然違う。
松尾潔さんは、自分は音楽を聞くことや音楽が
どう聞こえるのかというところに興味があることに
気づくきっかけになった。
そんな曲が、マイケルジャクソンのビリー・ジーンです。
これを聞くと、普通はマイケルジャクソンやベーシストに
注目するかと思うのですが、松尾潔さんは違いました。
松尾潔さんがまず一番気になったのは、
「座組をつくった人は誰?」ということ。
そこに惹かれる少年だったということなんです。
最初からそういう着眼点だったんですね。
同じ音楽を聞いていても、自分の資質と照らし合わせて
人それぞれ違う答えを言ったりする。
そこが音楽の面白いところだ、と松尾潔さんは話します。
優れた音楽にはいろいろなフックがたくさんあって、
どこに反応するかっていうのは人それぞれ。
そんな音楽への取り組み方が、小説にもそ活きているのかもしれません。
松尾潔は未来に投資している?
森永乳業カフェトーク。
ここからは、ゲストの方にもっとリラックスして
いただこうというコーナーです。
松尾潔さんへの質問はこちら!
あなたが投資をしているもの(ジャンル)といえばなんですか?
松尾潔さんが投資をしているものは…
未来です。
体にいいものを食べたり、体にいいとされる
トレーニングを自主的に行っています。
松尾潔さんがここ最近取り組んでいるのは、自重トレーニング。
これは、ウエイトを使わずに自分の体だけで行うものです。
50歳が見えてきた頃から、がっしりした体とよりも
しなやかな体やしなやかな生き方をしたいと思っていた松尾潔さん。
そんな未来を過ごすべく、今、手ぶらで始めて爽快感を
得られるようなトレーニングをマスターしつつあるとか。
音楽プロデューサーって、睡眠不足とか不健康な
イメージがありますよね?
徹夜が多いイメージ。
でも、一昔前に比べたらレコーディングもだいぶ短くなったので
以前より健康的な方も増えてきました。
徹夜したから、いい音楽ができるわけじゃない。
それに気づいた方がたくさん出てきた、ということなのでしょう。
ボカロから気づいた限界突破に挑戦する意味
新しく出てくる音や、若者のムーブメントに驚くことは、
松尾潔さんにもたくさんきあります。
松尾潔さんが「アッパレ!」と思う音楽は、ボカロ以降の音楽。
松尾潔さんは、ボカロのような音楽にはノータッチ。
しかも、全く触れるつもりもない。
“それでもやっぱり、影響は受けてるんだろうなと思う”と松尾潔さん。
松尾潔さんは、ボカロ以降の音楽についてこう語っています。
「例えば、Perfume。Perfumeの声って、人の声じゃなくて
声を加工しているんですよね。
もちろんそれはわかってるんだけど、気がつくと
Perfumeの声色を真似している自分がいて。
人工的につくりこまれたものに、実際の体でチャレンジするって
いうのは結構面白いのかなって。
子供がロボットのあるき方を真似したりするでしょ?
あれってもともと備わってるのかなっていうのを
ボカロ以降の音楽に関しては思ってます。」
それによってまた、
新しい人間の可能性が開かれることもある。
それまでのリミットを超えていく瞬間があって、
その時自分の肉体で挑戦する。
そこにこそ、意味があるのかもしれません。
新しいものに拒否反応を起こしてしまうときもあるかもしれませんが、
そういった面白みもあると考えると、見えてくる世界が
変わってくるような気がしませんか?
この先求められるのは”最新よりも最良”
その一方で、ポップミュージックはシティズンに向けてというよりも
愛すべき大衆に向けてつくられる音楽こそが尊い。
松尾潔さんは、そう考えます。
最新を求めるよりも自分にとっての最良とを信じる。
それが今という時と合えば、それが一番いい。
それがなかなか難しいことではあるのですが、
最新ではなく最良を目指して。
これから先はそれが求められる時代になってくるのだと思います。
さて、最後に松尾潔さんからのお知らせです!
松尾潔さんの初の長編小説「永遠の仮眠」は新潮社から発売中です。
かつて松尾潔さんがデビューシングルのプロデュースを行った、
三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの”岩ちゃん”こと
岩田剛典さんが表紙を飾っています。
ちなみに、岩田剛典さんはデビューして10年目に突入。
「10年前の恩を押し付けるような形で、プロデューサーが
小説家デビューするんだから、一肌脱いでくれないかな…?みたいな笑
そしたら、快諾してくれました。
登場人物の気持ちのある一断面を表現してくれました。」
とのこと。
ぜひみなさんも、手にとってみてください!
ここまでお読みくださり、ありがとうございました…!
次回もお楽しみに…♪